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98.chapter ◆
「何でこんな場所でああいうこと言うかな……」
女子トイレ前で、不覚にも目尻に浮かんでいた涙を拭う。
世界が壊れてもいいなんて、……だからこそ私は思えないのに。
私だって、殺されるのは嫌だし、攻略したくなんてない。世界中の人間を守りたいなんて聖女様じゃないから思えない。
でも、私には玲や刻や、侑香やクリスや。そんな優しい大切な人たちがいる。だから役割を捨てられないのだ。
私は優しい人間じゃない。もし彼らがいなければ……とっくに役割など捨てていたと思う。
「……はぁ……戻ろう」
ごしごしと目元を拭って何度か瞬きをする。多分これなら泣いてたとはばれないだろう。
そう思って寄りかかっていた壁から身を離した時。
「ちょっと、いくらなんでも調子に乗りすぎじゃないの?」
そんな言葉と複数の足音と共に。
気がつけば数人の少女たちが、私の前に立ちはだかっていた。




