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86.chapter
「バグのことか?」
「そう。おかしなくらい増えてきてる。確実に」
「そりゃお前が何かやったんじゃないの?」
「いやそういう風に言われると何とも言えないんだけど。ただ全く心当たりがないというか」
心当たりがない、というのは嘘になるか。でもそんなに大きな原因を私が引き起こしてるのだとすれば私は全くそれをわかっていないことになる。
私が台詞を間違えたり挙動不審だったりしたことが少年の言う「バグを認めている」ことと同義かと問われると、違う気もするし。
……私が鈍いだけなの? だとしたら地味に落ち込むな。
「泉、どうした?」
「いや、実家っていいなぁと」
「それなー。イギリスにいると俺も思うわ」
まぁ、彼の場合イギリスにいるのはほんのちょっとの期間だけだからまだいいだろう。
私なんか毎日だよ毎日。
「失礼します、お茶をお持ちいたしました」
刻の声と共に障子が開き、彼が姿を現した。




