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71.chapter ◆
「あぁ? 書きあがってない?」
「……すみません……」
私は多分悪くないと思うんですが。一応、事を荒立てない為にも謝っておきましょう。
「……はー……」
祈は盛大な溜め息をついた。
「……仕方ねぇ奴。俺が付き合ってやるから今日中に仕上げろ」
え、嘘。怒られるかと思ったのに。意外すぎる。
「で、ジャンルは何?」
「……へっ」
思わず変な声が出てしまった。
ジャンル? いや、ジャンルどころかもう何にも考えていないんですが。
「……月華院?」
「……えー……れ、恋愛小説?」
すみません思いつくままに言っただけなんですごめんなさい。内容これっぽっちも考えていません。
「恋愛小説? で、どういう展開にすんの」
「えー……し、失恋?」
「何で俺に聞くんだよ。……月華院」
「はいっ」
祈の無愛想な声は結構アレです怖いです。
っていうかわざわざ恋愛もので失恋にする必要性。欠片もないよね。
「……部活交流会で出す部誌に載せられる程度の長さが良いんだけど。……失恋もので、短編にまとめられんの?」
「すみません無理ですごめんなさい」
「……考えてから物事喋れ」
祈は呆れたように再び溜め息をついた。




