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64.chapter ◆
「いずちゃんの……好きな、ひと?」
「恋愛感情じゃないですけど、好きは好きですよ、幼馴染ですから」
そう。私には一応婚約者がいる。
攻略対象になれないどころかゲームには名前しか登場しないほどモブだけれども。
でもまぁ、個人的には後略対象たちよりも印象が良い。っていうか攻略対象の印象が悪すぎてお話にならない。
「好きじゃないのに、婚約者に、なった、の?」
いつの間にか婚約者でした。つまるところ仕様でございます。
まぁ嫌な人間じゃないからいいよ。
「生まれた時から決められていたこと、ですから」
微笑んでみせると、櫟は表情に陰りを見せた。それから薄く笑い、再び私の頭を撫でて、
「いずちゃん、やっぱりすごく、良い子。でも、無理、しないでね?」




