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63.chapter ◆
「僕の名前は、神楽坂 櫟」
あぁ、いたいたそんな名前の人! また忘れたらごめんなさい。
私、記憶力が超絶悪いもので、ルート新しく繰り返す度に攻略対象の名前忘れてるんですよね。そんな訳で次の世界でも多分あなたのことを忘れていると思います。ごめんね。
「神楽坂、櫟、先生?」
「うん」
神楽坂家――か。思い出した。確か茶道の家元だ。
「いずちゃんは、月華院家の、跡取り娘、なの?」
「いえ、兄が上に二人いるので跡取り娘じゃないです。私はどちらかっていうと外に出される方っていうか」
「?」
私の説明に櫟は首を傾げた。
うんわからないですよねすみません。表現が悪かった。
「婚約者がいるんです。だから、いずれは家を出ることになるっていうか」
「婚約、者?」
櫟は緩慢に目を瞬かせた。




