59.chapter ◆
「先生、コーヒーがお好きなんですか?」
だんまりも良くないと思って何気なく問うてみると、保健師はふるふると首を振った。
待ってください。あなたは自分が嫌いなものを人に出すんですか? 自分がされて嫌なことは人にしてはいけません。
「コーヒーは、苦手」
じゃあ何でコーヒー出すんですか。処分に困ってた貰い物とか?
「でも、情けないって、言われた」
「……誰に?」
「色んな、ひと」
それではわかりません。
でもまぁ、なんとなく理由はわかった。
「男の癖にコーヒーが飲めないだと? 情けない!」とかって誰かから言われたんだろう、恐らく。まったく、傍迷惑な奴だ。コーヒー飲まされた私の身になりなさい!
「……飲める方が、良いって、言われた。だから、飲む練習、してるの」
しなくていいと思います。
と、思ってる分には良かったのだけれど。私は愚かにもそれを口に出してしまっていた。
「……え?」
…………いやこれ、まずいよね。
バグにバグ重ねてどうするんだ私。っていうか好感度が下がったらどうしよう!?
もうここは言い訳だ! ヒロインのお約束のアレだよ!
「全然必要ないと思います。先生はそれがお嫌いなんでしょう? 別にコーヒーなんて飲まなくても生きていけますし。それに先生の嗜好をとやかく言う権利なんて、誰にもないんですから」
どうだ! これでうまく誤魔化せたでせう!?




