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51.chapter
とにかく。
そういうわけで。
結論。ヒロインは色々不自然。プラス聖女さま。そして私には似つかわしくない。絶対に。
何で私だったのでせう?
ふさわしい人なら他にもいるじゃない? 性癖はともかくクリスとか。侑香も私よりはいいと思う。何よりライバルキャラは最高に可愛かった気がする。確か。うん、多分。名前忘れたけど。性格悪かったような気もしないではないけど。
ともかく、私である必要はなかった筈なのに。
「何ごちゃごちゃ悩んでるの」
「あれ、少年。……声がはっきり聞こえてくる……ってことは、ここは夢ですか」
こくり、と少年は頷いた。
この少年のことで私が知っていることは殆どない。夢でははっきり存在しているけど、現実世界では透けてるし。実際の所、名前もまともに知らない。以前聞いた時、彼は何も言わずに黙り込んでいたし、呼び様がないので少年と呼んでいる。
彼はある日突然に私の前に現れた。そうして無愛想にこう訊ねたのだ。
「誰」
と。




