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43.chapter
悠珈と別れてすぐに、私は女子寮の前で立ち止まった。
(どうかしたの)
ふわりと、音もなく少年が現れる。
疲れたんです、なんとなく。
(疲れるのは構わないけど部屋に戻ったほうがいいんじゃないの?)
まぁ、誰かに見つかっても厄介ですし、それは正論ですが。
でも今部屋に戻っても、同室の裕香に憐れみの言葉を掛けられてガラスのハートが粉々になるのは目に見えているので。ちょっとひと休みしたいな、と。
(せめて寮の中に入れば? 何か雨降りそう)
そう言われればそうですね。
………と。
「………君………」
どことなく眠そうな声が、私に掛けられたのだった。




