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42.chapter ◆
「それにしても、何で泉が残ってるんだ? 今日は先生の会議で委員以外、寮に帰ってるはずだけど」
ああ、会議なんですね。知りませんでした。
何でって、勿論あなたと唯蝶の紹介イベントのためです。
とは言えないので、
「忘れ物しちゃって」
曖昧に笑ってみせる。
すると彼は納得してくれたようで、なるほど、と頷いた。
俺に言ってくれれば届けてやったのに、と悠珈は言い、わしゃわしゃと私の頭を撫でる。
「教室、そこか? 泉さえ良かったら寮まで送るよ」
女子寮と男子寮は少し離れた場所にある。立地の関係や、男女間でトラブルがないようにという理由でそうなったらしいが、実際はイベントの時に都合がいいからだと思われる。
「そんな、悪いよ。気にしないで?」
「いや、学園内とはいえこんな人気のない場所を一人で帰らせるわけにいかないだろ」
な? と笑う悠珈の優しさが胸に染みる。教科書を取りつつ、思わず彼が攻略対象であることを忘れそうになる私だった。




