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41.chapter ◆
「泉、大丈夫か?」
悠珈が心配そうに訊ねてきた。
ご心配有り難うございます。個人的にはもう少し早く来て欲しかったです。
「……怖かったか?」
「ううん、大丈夫だよ」
私はシナリオ通りに笑ってみせる。
そんな私を見て、悠珈は顔を顰めて俯いた。
「無理して笑わなくていい。お前が無理して笑っている姿なんか、俺は見たくないよ」
……悠珈って、普通だよね。
平たく言うと、影が薄い。
だからいつもアイドルとのイベントっていうイメージしかない。
まとも過ぎるのも考えものなんですね。
「有り難う、でもほんとに大丈夫」
だから心配しないで? と首を傾げると、彼の表情は更に苦々しいものになった。




