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39.chapter ◆
悠珈って意外と冷静なんだよね。ここのイベントではいつも思う。
悠珈は私の幼馴染設定の青年だ。一つ年上の攻略対象。
でもまぁどうでもいい。とりあえず、イベントよ。早く終わってください。
この気持ち悪い頬の感触を消すために洗面所で全力で顔を洗って皮が剥ける勢いでタオルで拭きたいんですが。それはこの場では叶いませんし。
「泉ちゃん、嫌だった?」
はい、とても。
とは言えないので、おろおろしてみせる。
「いえ、あの、えっと……」
「泉を困らせないで下さい」
「過保護だね」
唯蝶は意味ありげに笑う。
と、そこで。
「………………え?」
私はとんでもないものを見つけてしまった。
唯蝶の遥か背後。
丁度階段の前あたり。
そう。
階段を上がってきた、クリスの姿を。




