38.chapter ◆
……私、今、何されたの?
……………え、何されたの?
「んー。お姫様を助けに、騎士参上、ってところ?」
唯蝶は私を抱き締めたまま笑う。
現れたのは、私の幼馴染だった。
東雲 悠珈。
シナリオ通りだ。確かにシナリオ通りです。でも。
あなたは、私がこの変態にキスなんていう嫌がらせを受ける前に出てくるはずだったのですが、何で遅かったのでしょうか。
おかげで頬には未だ気色悪い生暖かい感触が残っております。
「泉から離れて下さい」
わー勇ましいねー。でももうちょっと早く来ようねー。
「君、泉ちゃんのなに? 彼氏かな?」
悠珈はぐっと言葉に詰まったが、正直に首を振って否と答えた。
「違います。しかし長い付き合いですので、助けたいと思うのは当然ですよね?」
「ふぅん、長い付き合いなんだ。幼馴染か何かかな? いいね、可愛い幼馴染がいるのって」
「放していただけますか?」
悠珈は頑なにそう告げ、そんな彼に恐らく観念したのだろう、唯蝶は私を放した。
「分かったよ。あーあ、残念。可愛い子と二人きりで話せると思ったのに」
「訴えますよ」
「辛辣だねぇ。でも訴えるようなことしてないでしょ?」
「充分強制わいせつ罪で訴えられます」
「小さいのに色々難しい言葉を知っているんだねぇ」
高校3年生ですよそいつ。
しかし悠珈は淡々とした表情で唯蝶を見つめるだけで、何も言わなかった。




