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34.chapter ◆
さて見つけました誰かさんの背中。チャラい後姿でもう誰だか一目瞭然!
とは言わずに私は走って行き――見事に、
「おっと危ないな」
…………。
えっ。
あの、えー、いやその何というか。
ぶつかりましたよ。確かに見事ぶつかりました。
何故かアイドルの胸の中にな!!
えっ、こんな展開じゃなかった! 普通に背中だったから! 間違っても「抱きしめられてきゃ♡」っていうイベントじゃなかったから!!
でも変に慌ててもアレだし、ここは予定通りに行こう、うん。
「きゃっ」
ちょっと遅れたのは見逃してやって下さい。
「ちょっと反応遅くない? 貞○」
だから突っ込むなと、って、え?
「えええええええええええええ!!」
私は顔を引き攣らせて思わずその手から逃れた。
って何やってるんだ私!!
「あれ、どうかしたのかな、貞○?」
や、やっぱ覚えてた!
っていうかそりゃそうだよねあんな逃げ方したら不審だもんね!
でもこれでは困る!
さて、どうやってもとに戻しませう?




