30.chapter ◆
明けましておめでとうございます。今年もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。
「きゃぁ忘れ物しちゃった。取りに行かないと☆」
とか叫びながら私は寮を飛び出した。
はい皆さんお元気ですかね月華院 泉ですよー。
私はね、超憂鬱です。何でってこれからイベントだからですよ。
今回はアイドルにぶつかって「きゃっごめんなさい。あらイケメンですねキュン♡」イベントです。
………………やりたくねぇええええええええええ。
でもまぁこれやらないとバグが起きるからね。やらないといけないんですけどね。
誰かヒロイン代わってくれませんか、ほんとに。
嫌ですよ本気で。だって何でこんなことしなきゃいけないの……
私は! 普通に! 生きていければそれでいいのぉおおおお!!
リア充とかならなくていいから!! 残念な独り身で十分ですから!!
とか叫ぶとバグになるから思うだけにしておく。
ちなみに心の中で文を思い浮かべると、それが与えられた『思った時のセリフ』になります。
ん、意味がわからない?
ほら、イベントであるでせう? 例えば……(どうしよう)ってヒロインが心の中で思った場面があるとして。
これはヒロインが考えたことというより文字の形を頭の中で作り上げるんですよ。そうして作り上げた文字・文がヒロインの思考、ということ。
つまるところ面倒臭いとかやりたくないとか、私が考えていることはプレイヤーには伝わらないっていうそれだけのお話。回りくどくてすみません。
あ、校舎が見えてきた。
私はそのまま校舎に駆け込んだ。必死そうな顔を必死で作りながら。




