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この乙女ゲームは死亡フラグが多過ぎます。  作者: 天音 神珀
episode.1    この乙女ゲームは死亡フラグが多過ぎます。
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2.chapter

 私は月華院(げっかいん) (いずみ)

 高校二年生の女の子よ☆



「とかいう茶番を延々としてたわけです」

「朝から? ほんと、ヒロインは大変だねぇ」


 友人の侑香(ゆうか)が哀れむような視線を向けてきた。……哀れみって意外と心に突き刺さるね。初めて知ったわ。


「まぁでも乙女ゲームだしね。名前がある限りは自己紹介は必要だし。プレイヤーは把握済みだと思うけど」

「何でこんなに酷い世界なんだっ」

「私に言われてもなぁ。ってか顔色悪いけど大丈夫? 前回もバッドエンドだったの?」

「ご明察(めいさつ)。監禁されて終わりました」

「……………愛されてるねー」

「こんな愛され方は嫌です!!」


 心の底からそう叫ぶと、侑香は苦笑いを見せた。


 ここは乙女ゲームの世界です。

 そして私はヒロインです。


 さて問題。ヒロインは何をしなければいけないでしょうか?


 うんまぁわかるよね。つまるところ攻略キャラクターたちに猛アタックせねばならぬわけです。はっはっは。


 …………嫌過ぎる!!


 だって前回の終わり方見てわかるように、ヤンデレとかいるんだよ? リアルに監禁とかできちゃう人が存在するんですよ? 攻略したくない!!


「まぁいいじゃん。イケメンなんでしょ?」

「そういう問題じゃないと私は思うなぁ!!」


 私がそういうと、侑香は悪びれずに笑って


「まぁまぁ。で、次の茶番はいつ?」

「昼休みだったと思う」

「あぁ、そうだったね。今回は誰になるのかねぇ」

「私はノーマルエンドを激しく攻略したいです」

「うん無理だね」


 侑香はばっさり切り捨てた。


 さて、状況を説明しましょう。

 現在はHR前です。登校してる生徒もそうでない生徒もいます、はい。


 ちなみにですね。私が乙女ゲームのヒロインであることは、この学園のほぼ全員が知っています。


 何故って聞かれても答えられません。()いて言うのなら仕様でございます。


 私が乙女ゲームのヒロインであることを知らないのは攻略キャラクター6人だけ。


 従って侑香もこのゲームを知っている。私の友人設定であるのも仕様だと理解してます。


 そうそう。先ほどの侑香の【次の茶番】というのは、ゲームとして起こるイベントのこと。ゲームもヒロインの1日全部を見るわけじゃないでしょう? そのイベントに含まれない時間が例えば今だったりするわけです。この時間だけは無礼講。なに話しててもOK。だからこのゲームについての話や文句なんかも言える、と。


「攻略対象6人とか、多くない?」

「そうでもないよ。泉は攻略させられるから辟易(へきえき)してるだけでしょう。誰だっけ? えーと………幼馴染の先輩、生徒会監査及び文芸部の部長、後輩の一年及び生徒会書記、保健室の先生、実兄、アイドル、だったよね」

「いつも思うけど、最後の二つ明らかにおかしいよね?」

「そういう仕様だと思いなさい。乙女ゲームは常識はずれが常識よ」

「辛いです……」


 まぁその6人以外にも隠しキャラなんてものが存在するらしいけど、とりあえず今は無視!!


「でもさぁ、実際のところ、」

「鐘が鳴ったぞ!! 席につけ!!」


 教師の声が響くと、侑香は舌打ちをした。それから渋々といった(てい)で席に戻って行く。


 はぁ。本格的にゲームの幕開けか。


 今回は誰を攻略するんだろう。


 私は暗い心持ちでHRに(いど)んだ。

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