1.chapter ◆
「もう怖がらなくて良いからな。俺がいるんだから何も怖くない。大好きだよ。誰より誰より大好きだ。愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる」
えっ。
何でこんな始まり方? 凄く嫌な予感がするんですけど。
ちなみに現在の状況。何故か檻の中にいます。
「お前はずっとここにいればいいんだ。俺が一生守ってあげるよ。だから逃げるなよ? ああ、愚問か。お前が俺から逃げるわけないもんな。愛してるよ」
え、一生?
これってまさか。
【BAD END 監禁】
「……っつう」
「おつ」
愛想の欠片もない声音で、少年が告げてきた。ペロペロキャンディを舐めてる姿は大変可愛らしいが、今はそれどころじゃありません。
「ちょ、あの。何で選択肢が一つも出てこないんですか!?」
「プレイヤーがバッドエンドルートをロードしたんでしょ。それぐらい理解したら? その頭はお飾り?」
私が悪い訳じゃないのに何故ここまで言われるのでしょうか!!
「あの、ほんとにそろそろ、真面目にノーマルエンドを迎えてみたいんですが」
「あっそ」
少年は興味なさげに呟く。小さい舌を突き出してちろちろとペロペロキャンディを舐める姿はさながら猫のようだ。
「ほら、早く行きなよ。プレイヤーが苛立つでしょ」
「……うぅ」
そんなこんなで、とりあえずノーマルエンド目指して頑張りたいと思います。
……もうバッドエンドルートのロードがないことを祈りながら、いざ、出発ーー