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この乙女ゲームは死亡フラグが多過ぎます。  作者: 天音 神珀
episode.2    この乙女ゲームは容赦ない死亡フラグが多過ぎます。
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3.chapter

「もしもし」

「お嬢様!」


 お決まりの呼びかけをした途端、切羽詰まったような声が耳に飛び込んできた。


「刻? 珍しいよね、刻が電話くれるなんて」

「いてもたってもいられず――仕事を何とか済ませてから掛けさせて頂きました。お嬢様、ご無事ですか!? どこも怪我など、」


 何か随分と焦ってるな。


「何でそんなに焦ってるの、刻。大丈夫だよ? 前のルートの怪我がまだ残ってるわけないじゃない」


 私が笑ってみせると、刻は深い安堵の吐息をついた。え、そんなに焦ってたの? 何で?


「……良かった……」


 どうしたんだろ。何か様子がおかしい。


「刻? 何かあった?」

「何かあった、などと。あったのはお嬢様の方でしょう。あの様に……(むご)いことを」


 ……ああ、なるほど。


 前のルートでの私の死体を、見てしまったのか。


 刻はゲームに登場するキャラではない。必然的に、学園外に出ない私との接触の機会は(とぼ)しくなる。つまり、彼は今までに私の死体を見たことがなかったのだろう。だから目の当たりにして酷いショックを受けてしまったのか。特に今回のは刺殺だしね。見てて胸の悪くなるような死体であったのは間違いないだろう。


「大丈夫だよ。慣れてるし。死ぬのは確かに嫌だけどさ……もう何回も殺されてるから、別に今更思うこととかないしね」

「何度も? なんて惨い……」


 刻の声が僅かに震えている。そんなに声を震わせるほどのことじゃないのに。


 刻は優しすぎるんだろうな。


「とにかく、私は無事だから。安心して?」


 出来るだけ穏やかに話しかけると、僅かな沈黙の後に、


「……はい。出過ぎた真似をして、お嬢様にご迷惑をお掛けしてしまい、本当に申し訳ございません」

「全然! 心配してもらえるのは嬉しいよ。でも私は大丈夫。ね? だから刻は刻で仕事頑張ってね」

「はい。お嬢様こそ、どうか……どうか、ご無事で」


 大袈裟だなぁ。でもまぁやっぱり心配してもらえるのは嬉しい。


 私は刻の言葉に素直に「ありがとう」と返して、電話を切った。

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