103/167
2.offstage
「……とにかく。バグに気をつけて動いて。このままじゃ本当に……、この世界は壊れる」
「こんだけやってもまだ壊れてないのが不思議ですね…… 」
「……。それは、君が」
……え?
少年は何かを言いかけ、しかし止めた。
……いやいや物凄く気になるんですが。私が何ですか?
「……とりあえず、早く行きなよ。プレイヤーが、苛立つから」
「あ、はい。行ってきます。頑張ります!」
「……せいぜい警戒心を忘れずにね」
「はーい」
「……どうして、君は……、こうなの」
少年は、泉が通った扉を見つめてから俯いた。
「……どうして……気付かないの」
苦しげに、少年が吐息をこぼす。胸元をぐっと握り、顔を歪める。
「……お願いだよ」
呟く声は、酷く弱弱しい。
「お願い。お願いだから……気付いて。否定して。消してよ。バグが存在してたら……君は、この世界を守れないじゃない。君が肯定してしまったら、君はこの世界を壊してしまうじゃない。いつまでたっても……いつまでたっても消えてくれないじゃない。お願いだよ。お願いだから、お願いだから……バグを、矛盾を。早く……殺してよ……」
誰にも届かない独白。
くずおれる少年の頬を、きらきらと光る何かが零れ落ちていった。




