Horizon(詩集)
むかし書いた物を少し直しました。目を通して頂けたら幸いです。
「ある子」
澄んでいる空が 遠くで七色のように見える
あまりにも陽は明るく
まんべんなく そこらをおおっているので
美しい なだらかな音楽さえ聞こえてきそうだ
それはほんとに小さくて
けれども途切れることがなくて
すぐにも忘れてしまうけれど
次々とやってくるのだ
子供は足を速め
少し躍るようにして
息のつづくかぎり 自分はいくのだ
と決まりごとをしてみた
走り始めたときは
あの はちきれそうな苦しさなんて
まったくやってこないものに思えて
本当に 力いっぱい駆けていく
地面は やさしく あたたかい
そばから生まれる風は
それぞれ光を捕まえ
おはよう おはようと言っているふうだし
雲を無理やり 踊りの輪に加えては
きれいな景色をつくっている
この 雲がかげらせる瞬間に眩むのは
夢の中で生きる
本当の自分の姿に戻っているのだ
と子供は思っている
けれど本当に どうして美しいだろう
こんなにきれいなら
自分が何であっても良い という気がしてしまう
息が切れて苦しくなりながら
だんだん子供はゆっくりに歩いていく
何であっても良いけど
もし この苦しくなった時をのりこえ
その先にいけたなら
もっとすばらしい空気の中に
自分もゆけるのかもしれないのに
もし 鳥か 馬か
陽の光に近いものならなぁと
青いにおいのぺんぺん草をつんでは ちぎってみる
子供の頭をなでるように
ふうわりと木が揺れている
「物思い」
空と影との黄金を
群衆の中から あおげるうちの
子供の心をもっていたなら
きっと グレイのむこうの 白と黒を見分けられ
世の中はひどく広い
一日は 毎日やってくることだろう
立ったり座ったり せわしない一日が
そして いま自分の居る向こう側に
新しい別の日が存在することも
焦らない心で知っているだろう
だから全てを忘れて眠り
次の朝だんだんに
大事なものだけをより分け
また日が暮れる。
そのように 幾度となくこなされ
紺青に近づく澄みざまは
美しいものを美しいと言い
おのれの醜さをも見つめている。
けれど自分を粗末にはしない
他人と同じく。
だからけらけら声を立てて笑う
嵐のように泣きわめく
そんなふうに生きていたなら
一日の空気は 軽やかだろう
きっとずっと
容易いだろう
「ある日」
西へ傾いた太陽に 空は晴れ
すべてが軽く 罪もなかった
ただ明るくて 白い月とか
ほかのどんな望むものさえ
ここにあると感じた
この時も動かされていくのに
願ってしまうほどだ
だけど人は退屈するから 決して本当には
時が止まってしまえ
とは考えない
どんなにその速さに苦しむようでも
考えない
何か季節のにおいがするけど
どの季節とはいえない
私の当たらないとこで
ひやりとした風が吹くばかりで
あたたかい
陽の光のほうが ずっとまさっている
空は青いだけだ
何の不安もなく ただ青い
どこかに雲があったとしても
それは きっとあそびに行くのだ
だから疑うものもない
高らかな賛美歌のように 明るい
近い音と 遠い音が
星のまわる速さで かけっくらをしている
ただ ステップを踏んでいるのかもしれない
髪の下の皮膚が ずっと感動している あたたかさに
なんでもない ということも
こんなにも良いことだ
それにしても明るい
私には
光の歩くのが 見えるようだよ
「春」
名前を知らない花が咲き
名前を知らない実がなる春に
生き物はみなして笑い
本来の姿を取り戻す
友達のできそうな午後の時
桜も花もうれしがる
こんな季節に生まれた子は
きっと一斉の祝福を受ける
地面で繋がったものたちが
やっとおこした季節なので
世界の全てがやさしくて
中心に 強い心を抱えているのだ
神様にお願いすれば こんな日は
願いを叶えてくれそうだ
独りぼっちにも美しさはわかる
原っぱをつくっている
たくさんの草の先っぽが照らしだされるのや
その沈みかけた太陽を
雲がやさしく隠そうとするのは
「お唄」
南の浜辺で 寄り添っている
二人は 友達
青い空がどうしてあるのか
知っている人が答えても
青い空だけを見ていたい
ただの青い空だけを
赤いお花は首をかしげる
待つべきかしらと思うから
夕暮れ時に 佇んでいる
二人は 恋人
愛というのが強いのは
誰もが思うことなのに
悲しさは生き残る よ
世界の 世界中の
正しさは一つでない
そのせいかしらと思ってる
読んでくださってありがとうございます。




