終わりよければ全てよし?
悠夜&光喜&メアはダンジョンから抜けた、谷底で死神の大群に襲われる、メアの大技により一掃することができたが、かわりに光喜は戦闘不能となった。
しかし、メアの持っていた不死鳥の羽(絆創膏)で無事に蘇生を遂げた。
さて、その後俺たちがどういう状況に陥っているかというと、聞くは失笑、語るは涙的な展開を繰り広げていた
この手の物語にはトラブルがつき物だが、そんなにも律儀に次々と起こる必要はないと思うね、トラブルの女神
がいるとするならば、是非ともゆっくりとお茶でもご一緒しようではないか、働きすぎは体に毒だぜ。
「悠夜〜、ボーっとしないでよ!!」
光喜の声が俺をイヤでも現実に引き戻す、俺は女神のような笑みを持つ女性との喫茶店での楽しい談話の
シーンの妄想を剥ぎ取ると、現実に目を向けてみた。
そこには頭の中にあった女神のような笑顔ではなく、もっと妖艶な笑みを持つサキュバスが何体かと、
下半身だけ蛇で上半身がグラマーな女性のラミアという名のモンスターが3体ほどだ。
「強いんだから〜、悠夜も手伝ってよ〜」
光喜が剣を振り回しながら言う、光喜も精神的にバテているようで、まったく腰がはいっていない。
「悪いがたとえモンスターでも、女を殴るのは気が進まん」
俺はそういうと、持ってきていたアルミの水筒の口を開けると、中に入っているブランデーをがぶ飲みする、
ちなみに、この小説を見ている未成年はマネするなよ。
「フフフ・・・優しいのね坊や」
サキュバスの一体がそういうと俺に向かってきた、そして、俺に向かってピンク色の魔力を放つ
「私の虜になりなさい」
サキュバスがそういうのと同時に俺はピンクの魔力に包まれた、まぁ、攻撃魔法でもないので俺は避けもせず
酒を飲み続ける、たしかこの魔法は相手のステータスに魅了の異常効果を与えるんだったな。
「悠夜〜、暴れないでね〜」
光喜がなげやり〜な感じで俺に言う、メアは淡々とラミアを刻んでいる、ラミアの目から放たれる光を浴びると
石化してしまうのだが、石化しきる前にメアは確実にラミアを倒してしまうのだ。
で、俺はというと、この程度の低俗魔法で異常効果を受けたりはしない、バームクーヘンで毒をくらった男が
何を言っているのだと思う奴もいるだろうが、過去のことは水に流そうではないか、俺はもう台風が直撃したナイル川に
流したね。
俺は酒の入っているアルミの水筒にふたをすると、軽く魔力を放出しあたりを漂っていたピンク色の魔力をどす黒い
魔力で吹き飛ばす。
「悪いけど、俺は清楚な女の子が好きなんだね」
俺はそういうと右手から魔力を放ち、きわどいカッコで飛んでいる、俺の好みとは少しズレたサキュバスを吹き飛ばし
一瞬で戦闘を終了させた。
「鬼だね」
「・・・・鬼」
光喜とメアの目線が俺に向けられる、手伝えといったのはお前だろう、光喜。それにメア、お前の戦いのほうが
よっぽど情け容赦ないと思うぞ。
「いいから先に進むぞ」
俺はそういうと、どんどんと奥へと進んでいく。
しばらくして、真っ暗な洞窟に差し掛かった、その洞窟の前にはそれっぽい石版が置いてある、石版には
日本語、韓国語、英語、それにご丁寧なことに点字までついてやがる、それによると、この先は見て分かるように
真っ暗で、洞窟の中を進むには壁にある松明に火をつけ、明かりを確保することが必要らしい。
「じゃあ、火がいるね、石版の地図によるとこの先の火山の火口の火を取ってこないといけないみたい」
光喜が地図と睨めっこしながらそういった、メアもその隣でコクコクと頷いている、その間にも俺は松明にジッポライター
をかざし火をつけた。
「あぁーーー!!」
すると、光喜が俺を指差しながら大声を張り上げる
「ずるしちゃいけないんだよ〜」
知るか。何処の誰が書いたかも分からん石盤の言うことを律儀に聞くほど俺は義理と人情に溢れた人間ではないのだよ、
第一、火山の火口から火を取ることがどれほど危険なことか知っているのか。
俺は後ろからの非難の声もものともせず、ズカズカと洞窟の中に足を踏み入れた。
洞窟の中をしばらく探索していると、宝箱のようなものを発見した、それも普通の宝箱ではない、メアと光喜を一変に
詰め込むことが出来そうなくらいでかい宝箱だ。
「きっとアレだよ!!」
光喜がパタパタと宝箱に近づいていった、その時、闇に閉ざされていた天井の方で何かが蠢く気配を感じた
「戻れ、光喜!!」
俺が叫ぶと光喜は振り向く、その時、光喜と宝箱の間になんかやたら巨大な何かが降りてきた、それは巨大な岩のブロックを
幾つもつなげて作ったような巨大な人形だ、十中八九ゴーレムで間違いないだろうな。
さて、ここで1つの疑問が浮かぶ、ゴーレムはかなりの重量がある、翼はないし、浮遊能力もない、さて、どうやって天井にいた
のだろうか、忍者のように天井に張り付いていても天井が崩れそうなものである。
あぁ、ついでにもう1個、大福を守るには少々オーバーなのではないだろうか、そんな疑問を誰かにぶつける暇もなく、ゴーレムは
俺たちに襲い掛かってきた。
「・・・・・勝つ」
メアはやる気満々な表情で剣を抜いた、言っておくがここでお前の能力は使うな、洞窟が崩れて生き埋めになるぞ。
俺の忠告を聞くと、メアは急にしゅんとしたしおらしい顔つきになってしまった、どうやら使いたかったらしいな。
「そんな顔すんな、どうせすぐに終わらせてやるよ」
俺はそういうと、ゴーレムの前に立ちはだかった、そして俺が魔力を高めたとき
「魔法の大福ゲット〜♪」
ゴーレムの後ろにいた光喜がにこやかな顔で宝箱の中身を持っていた、どうやらゴーレムを倒さなくても手に入ったらしいな、
だが、少し楽しそうな相手だし遊んでいくことにして、俺はゴーレムに向かって構えた。
「・・・・天空のオカリナ」
すると、俺が魔力を放つ瞬間、メアは天空のオカリナという街への帰還アイテムを使った、おい、せっかくやる気を出してたのに・・・
じゃなくて、このタイミングでそれを使うと!!
俺たちは光に包まれ、一瞬にしてもといた廃棄ガス臭い空気の街に戻っていた、そしてそれと同時に俺の手からは魔力が放たれていた
しかも、今までの魔力の球体のダークではなく、魔力をバスターのように放つダークバスターという技だ。
その後から大変だった、俺の目の前の高層ビルには巨大な穴が開き、瓦礫は道路の車を次々と破壊し、消防や警察がわんさかと
集まる大騒ぎになった、俺たちはというと俺の幻術によって、その場からなんとか逃げたという状況だ、中には何人か幻術にかからなかった
奴も居たが、そういう周りの空気を読めない奴には俺の鉄拳制裁をプレゼントし、俺たちの事を無理やり忘れてもらうという合理的な
方法をとらせてもらった。
かくして、俺たちは大福を手に入れ、その代償として街のビルをただの瓦礫の山に変えてしまったのだった。
「人生うまくいかないな・・・」
俺は水筒に入っていた酒を全て飲み干しながらそう呟いた。
やっと、第1章、終了といったところですね。
次の話からは、また次の冒険に出てもらうことになります。そのときに、他のメインキャラも出す予定です。