表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/48

    暗闇の中?

「はぁ・・・はぁ・・・クソッ、舐めやがって」


 あれから数時間が経過していた。俺は周囲を見渡し、シャリーナを探す。

だが、周囲は真っ暗でシャリーナの姿を確認することが出来ない。


 数分前・・・。


「なぁ・・・ココってモンスターいねぇのか?」


 俺がぼやくようにシャリーナに言う。いつの間にか、灯石はシャリーナが

持って先頭を歩いている。まぁ、別にいいんだが・・・。

 この廃坑は無駄に分かれ道が多いが、ずっと同じ景色が続き、その上

モンスターが一匹も出てこないという、退屈極まりない場所だった。

 ぼやきながらも歩いていると、急に開けた場所に出て来た。ボロボロに

なったトロッコや採掘に必要な道具が当たりに放置され、掘り返した土が

山となっていた。


「なんかいるな・・・」


 俺が呟いた瞬間、一閃の衝撃がシャリーナの持っていた灯石を砕いた。

砕かれた瞬間、それが銃撃であったことを悟り、俺たちは別々に物陰に

隠れた。

 音がしなかったのを見ると、銃にサイレンサーか何かをつけているようだ。

灯石は砕かれて光を失い、周囲は闇のみが広がっていた。


「シャリーナ大じょ―――」


 言いかけて違和感に気付いた。俺自身の声が聞き取れない、人間は

自分の声を骨の振動を通して聞き取ることも出来るので、うっすらとは

聞こえているが、外に出て行った声が俺の元に返ってこない。

 俺は試しに手元の石を投げてみた。結果は無音。


「これじゃ、シャリーナがどこにいるか分からねぇ・・・」


 俺はポケットに入っていたライターを取り出す、その瞬間に、そのライターは

銃弾によって弾かれた。俺はどこに飛んでいったかわからないライターを無視して、

他の物陰に隠れた。手探り状態で隠れるものを探しているので、やや時間がかかった。

一応、銃で狙いにくいように蛇行しながら走ったが、音がないので撃ってきて

外れているのか、撃っていないのかも分からない。


 そして、現在に至るわけだ。


 すると、突然どこかから大気を振動させるような衝撃が起こる。多分、シャリーナが

しびれを切らして暴れてるんだろ。

 待てよ、音っていうのは、いわば空気の振動だよな・・・肌で感じているほどに空気が

震えているのに、音がなくなっているってわけはない・・・。だとすれば、俺たちが音を

判別できなくなっているだけだ。だが、幻術の類ではない。幻術のエキスパートである

俺様が言うんだから間違いない。

 となれば・・・これは、呪術の類に分類される技だな・・・。だが、呪術というものを

相手にかける場合、魔力を直接ぶち込むか、呪術の課程で対象を指定しなくてはいけない。

しかも、対象を指定する場合は、相手の体の一部、髪・爪・血・魔力などが必要となる。

 奴は前者ではない。魔力を直接ぶち込まれたら、誰でも気付く。ならば、後者。

つまり、奴は俺とシャリーナがここに来ることを知っていたことになる。つまり、罠だったわけだ。


「また罠かよ・・・」


 俺はこの前メアと光喜で行った、ダンジョンにいた少女の事を思い出す。

また陽河家に対する恨みか・・・いや、今回はシャリーナが含まれてるよな・・・。身辺調査でも

したのかもしれないな。

 俺がいろいろ考えているとき、神経を尖らせていた肩に何かがめり込む感触が一瞬する。

その後、体をそらすと、肩にかすり傷ができた。銃弾が肩を掠めたようだ。神経を最大まで

尖らせば、致命傷は避けられるが、長期戦になると不利、それにシャリーナも心配だ。

 かといって、ところ構わず技を連発したら、生き埋めになるだろうな。

 俺は試しに、銃弾が飛んできた方向に軽めのダークを放つ。音がないし、視界もゼロなので

着弾したかどうかはわからない。音がまだ聞こえないのを考慮すると、多分外れたな。

暗視スコープか何かを装着してると考えるのが普通だろう、距離もかなりありそうだし

回避も楽々できるだろう。


「仕方ない・・・、あまり手の内を見せるのは好きじゃないんだがな・・・」


 昔、魔力の素質の話をしたのを覚えているだろうか? 魔法使いには、その魔法使いの

素質というものがあり、その素質にあった魔法は習得が楽でより強力になっていく。

俺の素質は闇・呪・幻・氷・雷・炎・水・空・風・地・癒・樹の12個。闇が一番得意で、樹が

一番苦手という順番だ。

 つまりだ・・・。

 俺が両手をかざすと、その間に青白い稲妻が走る。闇には劣るが、雷も俺は使うことが出来る。

その光を頼りに、シャリーナがこちらに寄ってくる。雷だと、あまり広範囲を照らすことが出来ず、

敵影は発見できない。


「よう、無事か?」


 俺が言うと、シャリーナが口をパクパクさせている。音が聞こえないんじゃ、なに言ってるか

分からないだろうな・・・普通の人間なら。


『あんたねぇ、雷の魔法使えるなら早く使いなさいよ!!』


 読唇の結果、シャリーナの言っていることは分かる。俺が言ってることは、シャリーナには

理解できないだろうがな。


『といっても、聞こえてないんでしょうね・・・』


 俺はシャリーナに向かって、嫌味ったらしく笑った後、首を振る。

俺が唇に指を当てながら、パクパクを動かしてやると、読唇術が使えることを理解したようだ。

電撃でうっすらと明かりのある中、シャリーナに飛んでくる銃弾が見え、とっさにそれを掴んだ。

掴んだ瞬間は、電撃が出せないので周囲は暗くなる。

 俺は掴んだ銃弾を確認する。『魔女狩り』が使っていた、黒魔術式の銃弾ではない。


「バカな奴だ・・・・銃弾にまだ魔力が残ってやがる・・・」


 俺は電撃を止め、辺りは闇が支配する。元々、こんな場所を戦いに選んだのが間違いだな・・・

俺にとって闇は恐怖の対象じゃない、最高の武器さ・・・。

 俺は魔力を高め、呪術を発動させると、そっと目を閉じた。

 俺のまぶたの裏では、超高画質なダイジェスト映像が流れている。先ほど銃弾を放った位置から

離れて、また俺たちに狙いをつけている男の姿がくっきりと見えていた。

 黒くてぴっちりしたスーツを着た、青髪の男だ。暗視ゴーグルをつけているのかと思ったが、

金色の目には魔力が集中している。なるほど、音を消す能力以外にも、特殊な視力を持つ能力が

有るようだな。

 男が銃を俺に向けた瞬間、俺は目を開いてその方向を見た。


「・・・見つけた」


 口に出して言ってやると、男はあわててその場から移動する。もう目を開けたままでも奴の位置が

はっきりと分かる。俺がかけた呪術は、監視するもの。直接的な危害はないが、周囲の闇を味方にし、

敵を監視し続ける。あと3時間程度は俺から逃げることは出来ないぜ。

 この能力が発動したおかげで、シャリーナの位置もはっきりと分かる。

 俺はシャリーナの肩に手を置くと、次に背中に指で字を書く。数分で作戦を伝え終わると、

俺は魔力を高める。その間にも、銃弾は数発飛んできたが、この距離なら見えている弾丸は全て

回避可能だ。


「教えてやるぜ・・・どっちが呪術師として格上か・・・」


 俺は小さなダークを何発も、敵の頭上に向けて放つ。既にシャリーナとは魔力の波長を

合わせており、第2派の準備も万全だ。

 男は自分から逸れている弾道に安心したのか、ゆっくりと移動を始めた。

ダークは男の頭上の天井に当たった。威力的には言えば、破片がいくつか降ってくるぐらいで、

少しずれた位置に移動した男には当たるはずもなかった。

 シャリーナがいなければ・・・。


「潰れちまえ」


 俺はそういうと、シャリーナの肩を叩く。すると、ダークに込められていたシャリーナの魔力が、

天井付近の岩石の重さを全て重くする。男が気付いたときには、広範囲にわたり天井が

崩れ落ちてきた。


「俺を相手にするには、準備不足だな」

「あっ・・・聞こえるようになった」


 シャリーナの声が間近で聞こえた。久しく聞いてなかった気がするな、何日も聞いていない

わけじゃないのに、ひどく懐かしいよ。


「さてと・・・掘り出して、動機でも―――」


 俺がその場から移動しようとしたとき、あの時の塔で感じたのと同じ、感じ覚えがある

あの魔力が周囲に立ち込めた。それと同時に、岩石は吹き飛び、男がユラユラと立ち上がった。

 すると、何もない虚空にひびが入り、亀裂が生まれた。俺が追おうとしたときには、男はその

亀裂の中に入っていってしまった。


「ウソだろ・・・」

「ちょっと、どうしたのよ!!」


 何も見えていないシャリーナが騒ぎ立てる。呪術をかけた対象が、この場から消えて

しまったため、俺の視界もゼロになった。いや、この場から消えたなんて規模じゃない、

正確にはこの世界から消えた・・・。


「まさか・・・いや、でも、なんでアイツが?」


 俺はパニック状態になった頭を抱えつつ、しばらくその場に立ち尽くしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ