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    ベストメンバー?

 魔術の失敗により、ミヤという正体不明な使い魔をメンバーに入れてしまった悠夜一行。

 悠夜たちは、メアのお勧めと紹介されたダンジョンへといった。だが、そこには、巨大な鎧を着たケンタウロスのようなモンスターがいる。悠夜の幻術は防がれ、シャリーナの重量操作も魔力ごと剣に吸収されてしまった。

「いいか、俺の言うとおりに動きやがれ」


 俺たちの能力を知っていて、俺たちを倒すことに何らかの意味を持つ奴がいるとしたら、

可能性としてあげられるのはただ一つ・・・。『魔女狩り』の連中だ。もしも、これが『魔女狩

り』の仕業だというのならば、あのケンタウロスの正体は召喚獣か使い魔の類だろう。

 奴には簡単な行動パターンや対策が叩き込まれていると考えるのが妥当だろう。

どうも奴の攻撃を見ていると野性的な闘争本能しか見えないからな、自分自身が高い知能を

持ち合わせていないのだろう。


「なら今までにねぇ技をぶつけてやればいい・・・」


 俺が言うと、ミヤが不安そうな顔をしている。


「そんな、いきなり新技なんてできるものなんですか」


 なにも新しい能力を身につけるんじゃないんだ、攻撃パターンを少し変えてやればいいだ

けだ。


「でも――」

「アンタが言うからには、考えがあるんでしょうね」


 ミヤの言葉をさえぎるようにシャリーナが言った。エルルも光喜もすでに俺からの指示を待

っている状態だ。いつもは俺がこいつらの雰囲気に流されている気もするが、戦闘において

の指揮官は俺だ。

 おっと・・・あんま時間をかけられねぇな、奴が追いついてきたようだ。


「じゃあ、今からプランを説明するぞ――」


 説明をはじめようとしたとき、奴がこの広間に入ってこようとした。だが、入り口には防御用の

魔方陣で結界が張られているため、なかなか入れないでいた。

 俺が説明を終えるとほぼ同時に結界が破られた。時間がなかったため、かなり大雑把な

説明になってしまったが、うまく動いてくれよ。

 俺はダークバスターを相手の足元に放つ。だが、剣を足元にかざすだけで簡単に防がれ

た。まぁ、予想の範囲内だったんだがな・・・。

 相手の進行が止まったとき、懐から酒の入った金属製の水筒を取り出し酒を口に含む。

その後、相手に接近しながら跳躍し相手の顔の前までいくと、おもいっきり酒を噴出してやる。


「悠夜〜、汚い〜」


 光喜が後ろで何か言ってる。知るか、お前はお前の仕事をさっさとしろ。


「ぐぉおおおおおおおお!!」


 ケンタウロスは上半身を大きく揺らしながら叫んでいる。今度は酒の匂い&液体がかかった

ことにより感じる冷たいという触覚を媒体にしてダブルで幻覚をかける。

 だが、やはりあの剣のせいで長くは持ちそうにないな・・・。まぁ、俺の仕事はこいつを60秒

足止めできればいいんだがな。

 後方では、忙しく動き回っていたエルルが合流した3人が準備を始めていた。。

 まず、第1段階として、エルルの変身能力で巨大な斧に変身する。元は華奢な少女とは

考えがたい黒光りした巨大な斧だ。4畳半の部屋には収まらないだろうな。

 第2段階としては、シャリーナの能力でその斧の重量を軽くしてシャリーナが装備する。

 最終段階としては、光喜がシャリーナ時間操作でスピードアップ。そして、加速した

状態でケンタウロスに襲い掛かる。


「いっくわよーーー!!」


 シャリーナが無駄に雄たけびを上げながら突撃していった。

 さてと、俺はこれからもう一つの仕事だ・・・。俺は精神を集中させて詠唱を始めた。

 シャリーナは、1撃目で右前足にスイングするように、2撃目に馬の胴体に振り上げるように、

3撃目は跳躍して、人間の胴体部分を背後から切りかかる。やっぱり、あの鎧が見た目以上に

頑丈だな。

 ケンタウロスにほとんどダメージがないまま、奴の幻術が解けたようだ。ケンタウロスは剣

を振りかざし空中にいるシャリーナに切りかかろうとする。だが、今度は光喜の時間操作で

落下スピードを遅くしてタイミングをずらし、剣はシャリーナの足元の空を切った。

 シャリーナの時間が解かれ、馬の胴体に着地する。そのまま自分自身の重量も軽くして

かなりの高さまで跳躍する。それにより、ケンタウロスの注意が上空にいった。


「やれ!!」


 俺の合図とともに、仕掛けておいた罠が発動する。俺は一度ミヤを土に戻しておき、

その後、幻術で奴が苦しんでいる間に足場にエルルに魔方陣を書かせていたのだ。そして、

ミヤを再構成する、ただし・・・。この前の失敗したときとはわけが違う、俺の儀式だと

使い魔を作成するとき媒体として必要になる、逆に言えば媒体を多く利用すれば・・・。


「巨大化って奴かな」


 奴の足場からは常人の2倍の身長はあるであろうミヤが現れる。その分、奴の足場の土

が減ったため穴ができ重心がぐらつく。そうなれば、巨大化したミヤが奴を押し倒す。


「倒れてー!!」


 ミヤが必死に押すが、巨大化したとはいえ少女の筋力とモンスターの筋力では差は大き

い。ケンタウロスは体制を崩したままだが倒れる様子はない。


「ウソ・・・もう少しなのに・・・」


 ミヤが必死になって押し込むが、いくら大きくなったってか弱い少女ということは変わらねぇ

んだ。俺は素早くミヤの背後に回りこむと、ミヤと同じ方向からダークバスターを打ち込む。


「マスター・・・」


 ミヤが俺の方を振り返っている。目線があいつの方が上だから、見下ろされている感じ

は気に入らんが、そういう安心とか安堵に浸ってる目っていうのは嫌いじゃないぜ。


「いいから、押し込め!!」


 俺はダークバスターを放っている右手に添えていた左手を前に向け、ダークバスターを

2つ同時に放った。ミヤもケンタウロスに向き合い押し込む。


「いっけーーーー!!」


 ケンタウロスはついに体制を崩してその場に倒れた。すぐに、ミヤはケンタウロスから離

れていく。


「さて・・・とどめの一撃は任せたぜ・・・」


 俺は上空で光喜の時間操作でゆっくりと上に飛び上がっているシャリーナを見る。その時

間操作が解かれると、跳躍の余韻で少し上昇した後、落下運動を始める。


「行くわよ、グラビィティアックス!!」


 どうやら、最後の一撃に考案者の俺に断りも無く技名がついたらしい・・・。最後の一撃、そ

れは、大斧の重量を元に戻し、さらに能力でその何倍も重くするというものだ。しかも、光喜

の時間操作で落下速度を上げている。

 落下のスピード×光喜の能力×大斧の重さ×シャリーナの能力=この技の威力。

 加速に加速を加え、ケンタウロスは逃げる暇もなく真っ二つにされた。

 これだけ掛け算を繰り返せば、どれだけ大きな数字になるかなんて小学生でも分かるだろう。


「ぐぎゃぁああああああ!!」


 最後の断末魔を轟かせながら、ケンタウロスは無に還っていった。まったく、手こずらせて

くれたじゃねぇか。

 エルルは大斧から元の姿に戻り、ミヤも巨大化したままでは不気味なので元に戻す。


「まぁ、私がここにいるんだから、当然といえば当然よね」


 シャリーナが誇らしげに言う。まぁ、今回の決め手はお前だったわけだから素直にほめて

やろう、口には出さんがな・・・。


「エルル、大丈夫か?」

「え・・・あ、うん、大丈夫だよ」


 俺の言葉にうつむきながら答える。顔がやや赤いのは疲労からくるものだろうか、大斧に

なって鉄になっていたとはいえ、あの鎧を砕いたのは最終的にエルルだからな・・・。負担が

大きかったのかもしれない。


「悠夜〜、俺もがんばったよ〜」


 教室で教師に手を上げるように、手を上げて主張している我が弟。お前はずっと後方支援

だっただろうが・・・。その後、ミヤに視線を向けてみる。勝利したというのに、なんだかキョ

トンとしているようだ。


「大丈夫か?」


 俺がミヤに近づいて尋ねてみる


「――です」


 は? なに言ったかいまいち聞こえなかったんですけど・・・。俺はミヤに近づいて耳を澄ま

してみる。


「すごいです!!」


 ミヤは急に大声を上げて目をキラキラさせる。そんな近くで大声を上げるな、耳がキンキン

する。


「マスターたちすごいチームワークでした!!」


 よし、わかったから興奮するな・・・テンションを下げろ。ミーハーみたいな目を俺に向けるな。


「マスターたちって、お前もその中の1人だろうが・・・」


 まだキンキンする耳を押さえながら適当に言った。ミヤのテンションは下がってない。こう

もハイテンションな奴が多いとつらいぜ・・・。


「さすがマスターです。こんなすぐに全員の能力を活用した作戦を立てられるなんて・・・」


 まぁ、昔から難しい事を考えるのは俺の仕事だったからな・・・。光喜は考えさせても突拍

子もないことをするだけだし、シャリーナは考える気がない、エルルは頭はいいがみんなを

引っ張っていくリーダーシップはゼロ。ここにはいないが、タケシはバカ。メアは論外。

 必然的に司令塔をするのは俺しかいないわけだ。


「それに、みんなにすごく信用されてるし・・・すごく信用してる・・・」


 テンションが落ち着いた様子のミヤがそういう。どこか寂しそうな感じの声色は、さっきまで

のミヤとはまるで別人のようだ。


「お前も、このパーティーに入ったんだ・・・いつか、そうなるさ」


 そうだよな・・・こいつがなんであれ、俺の使い魔なんだ。俺が一番信用してやらないとい

けないんだよな・・・。そんな感慨にふけっていると、ミヤが俺の腰辺りにタックルしてくる。


「マスター!!」


 そういいながら腰にしがみついてくるミヤ。邪魔だどけ、一瞬でもお前に心を許した俺が

バカだった。あの感慨を今すぐ俺に返せ!!

 そんなこんなで、ミヤが俺たちの仲間に正式に入ったのだった。

 その後、『魔女狩り』の連中が出てくることもなく、他に強いモンスターが出ることもなかった。

だか、『魔女狩り』の連中、完全に俺たちを潰しに来ているようだな。

 俺はあの時戦った、ボロキレのようなマントとジェイソンの仮面をかぶった大男のことを

思い出す。また、戦うことになるのだろうな・・・。

 シャリーナは口には出さないが、俺の事を気にかけていたようだ。『魔女狩り』のことを

知っているのは、俺とアイツだけだからな・・・。

 アイツもエルルには教えていない様子だ、きっと考えは同じなんだろうな・・・。俺も光喜を

巻き込むのがいやで話していないからな。それが、光喜が望まない俺のエゴだとしても。

 あ〜、そうだ、マジメな話の途中でこんな追伸をするのもどうかと思うが、その後の話を

すると、影武者を作ることを忘れ、もはや陽河家の集まりがあることも忘れていたので、後日

電話でグチグチと説教された・・・。

 ちなみに、陽河家が集まる理由とはジジイが町内会のボーリングで優勝したとかいう、

くっだらねぇー理由だったようだ・・・。行かなくて良かったぜ・・・。

 ミヤで時間をかけてもしかたないので、ミヤはあっさりと仲間に入れてしまいました。

 そのうち、ミヤの過去に迫っていくことにして、早くストーリーを進めないと。

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