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    天使? 悪魔?

ファンタジーの世界に住みながら、現実的な思考回路を持つ魔法戦士の陽河悠夜。

子供っぽい、というか見たまんま子供な悠夜の双子の弟である陽河光喜。

2人は、魔法の大福なるアイテムを目指して、レベルの低いダンジョンに乗り込んでいた、なぜこんな低いダンジョンに乗り込んだのか・・・それは、そこにダンジョンがあったからだ。


そして、2人はダンジョンの中で見知った少女の姿を見つけた。

 その少女のすぐ側には、真っ青な顔をした男が三人ほど腰を抜かしている

どうやら、この娘のことを知らずにちょっかいかけたようだな。

 彼女の名前はメア、正式にはメア・アスフィードだったかな、いつも愛称のメア

としか呼ばないから記憶が曖昧だ。


「な・・・なんだこの女・・・」


 腰を抜かしていた男A、もうすぐ、被害者Aとなる男がそういった。


「キャーーーーーー!!」


 メアが悲鳴を上げる刹那、俺と光喜は反射的にしゃがみながら壁に隠れた

すると、悲鳴が聞こえてきた瞬間に、周りの壁が次々と崩れていく、その断面は

驚くほどにキレイに整っていた。

 これが彼女の能力、声を刃に変える力だ、声が聞こえた瞬間には刃は迫っていて

しかもその攻撃は、広範囲にそして無作為に放たれるという、迷惑この上ない攻撃なのだ


「ぎゃああああああ!!」


 男の断末魔が三つほど聞こえてくる、この前メアとパーティーを組んだとき、

この音の刃に巻き込まれた、言っておくが俺がドジなのではない、この攻撃は

本当に無作為に声の届く範囲に繰り出されるのだ、そして、それは音速で、

つまり時速にして1200kmの見えない&音なので防御も出来ない刃が飛んでくるわけだ。


「・・・・ぐすっ」


 ボケーッと放心状態でいると、メアのすすり泣くような声が聞こえてきた、どうやら

男たちは死んだらしい、今頃はどっかの神殿で蘇生の儀式の順番待ちだろう。

 この世界では死んでも神殿で復活できるのだ、それでは世界の人口は減らずいつか

人間で溢れかえるぞ、そして、それだけ現実離れなことをしていて、順番待ちという

現実的な理屈を唱えられるという、なんともやるせない。


「おい、メア」


 俺はその場から立ち上がりメアに呼びかけた、すると、メアは涙を拭いて俺のほうを見る

蒼色の澄んだ瞳がまっすぐに俺に向けられる、知らない仲じゃないんだし、そんなにじっと

見つめるなよ。


「こんな低レベルなダンジョンで会うなんて奇遇だな」


 俺はメアに向かって投げやり気味にそういう、レベルの見合わないダンジョンで、知り合い

同士が、ちょうどナンパ現場?に遭遇する確立とはいったいどの程度のものなのだろうか、

決して高いとは思わんね、それこそ宝くじで10万円当てるほどの確立しかないのではないだろうか


「メアも大福狙いなの?」


 光喜がぴょこっと現れメアに尋ねる


「・・・・・・」


 メアは何も言わずにコクリと頷いた、さっきまでアレだけ叫んで暴れていたにも関わらず

まるでヒマワリのような神々しい笑みを浮かべてだ、この笑顔を見ていれば天使にも見えるが

一度さっきのように錯乱状態に陥れば、悪魔か死神としか言いようのない殺戮劇を見せてくれる、

天使と悪魔の二つの顔を持つ女、それがメアだ。


「じゃあ、一緒に行かない♪」


 おい、光喜・・・さっきの惨劇を見てお前はメアを誘うのか?さっきの惨劇を見てメアを誘う男なんて

たとえアマゾンの奥地や、ピラミッドの隠し部屋まで隅々探してもいないと思うぞ。


「・・・・・」


 メアは何も言わないまま、眩しいまでの笑みを見せて頷いてくれた。メアは小走りで俺たちに近寄ってくる

その後俺の顔を覗き込んで少し不安そうな顔をする、普段から俺は目つきが悪いのだが、さっきのこともあり

普段異常に怖い顔になっているようだ。

 メアは少し脅えた表情で俺の目をじっと見つめている、その目は少し涙で潤んでいる。


「まぁ・・・なんだ・・・足は引っ張るなよ」


 俺がそういうと、メアはすぐにニッコリと笑みを浮かべる、そして俺と光喜の腕をギュッと抱き寄せた、

本人は何も意図していないのだろうが、俺の肘にはやわらかい感触が嫌でも押し付けられている、

こいつは一応俺たちと同い年なのだが、そうとは思えないほどのスタイルをしているのだ。


「ほら・・・いいから行くぞ」


 俺はメアから腕を引き剥がすと淡々と歩き出す、メアと光喜も後ろをポテポテとついてくる

まるでカルガモの親子のようだ、俺が右に曲がるとまったく同じルートを歩いて曲がってついてくる

数年前のRPGじゃないんだから、パーティーは全員一列に並んで歩くことはないんだぞ。

 すると、突然モンスターが数匹現れた、だが俺たちは構わず前進する、そして通過するついでに

モンスターをあしらっていく、メアと光喜は剣すら抜かずにモンスターを撃破していく、まったく、

なんでこんなモンスターが弱いのかね、そして、なんで敵わないことが解っているのに向かってくるのだ

モンスターにはモンスターなりの信念があるのだろうか、あるなら捨てろ、信念だけで世の中渡れるほど

甘くない。


「じゃあ、次の階にいこうか♪」

「・・・・・」


 後ろの2人がウキウキとした様子で俺を見ている、俺はそこまで乗り気じゃないのだが、できれば

こんなつまらない場所おさらばしたいね。


「ここまで来たんだし、最後までいかないとね」

「・・・・・」


 光喜の言葉に、メアは無言のままコクコクと頷く、そこまでやる気があるならなぜ先頭を歩かないのだ、

やる気の無い俺が歩くよりダンジョン攻略が早くなると思うぞ。

 俺の提案はすぐに受け入れられ、先頭は光喜が歩くことになった。


 数分後、俺は光喜を先頭にした事を後悔していた、壁から槍が飛び出たり、床が落とし穴になったり

宝箱だらけの部屋は、実は全て擬態したモンスターだったり・・・


「えっと・・・北はこっちだね♪」


 ダンジョンの地図を見ながら光喜が言う、光喜・・・北は常に前じゃないんだぞ、地図はコンパスを見ながら

見るか、曲がるたびに地図の向きを変えないようにしないといけないと思うぞ。


「もういい・・・メア、お前がやれ・・・」


 俺は光喜の地図を取り上げメアに手渡した、メアはしばらく地図と睨めっこをしていたが、ゆっくりと歩き出した。


 数分後、メアは地図で折り紙の兜を作ってかぶりだしたあたりから、地図は再び俺の手元に戻ってきた、

てめぇらは、なぜダンジョンに来ているのだ。

 そんなこんなで、ダンジョンの最初の階から抜け出すことが出来たのは1時間以上後のことだった。

3人目のキャラのメアが登場です、ほんとは後数人、メインキャラとなりうるキャラがいるのですが、一気に出ても混乱するだけなのでゆったりと出していきます。

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