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    犬猿の仲?

 陽河家の集会をサボろうとした悠夜は光喜のせいで、使い魔作成に失敗。そして、その失敗で現れた名も無き少女を魅夜(ミヤ)と名づけた。

 しらみつぶしに昔の記事を参考にして、ミヤの招待を探ろうとしていたとき、気になる記事を発見した。

「悪魔召喚・・・」


 その記事には大きくそう書かれていた。詳細は、魔法学校の学院生徒、他の世界で言う大学生

ぐらいの若者の集まりであるギルドが精霊召喚に失敗し悪魔を召喚。結果はというと、近所の住人

までを巻き込み、8名の死者と12名の死傷者、それに1名の行方不明者まで出ている。

騎士団と警察、それに魔法学校も調査に及んだが行方不明者の所在はつかめなかった。


「行方不明だと?」


 悪魔と契約した場合魂を奪われる。だが、それは肉体から抜け出した魂の話で抜け殻の体は

残るはず・・・。悪魔が人を喰らうタイプだったのか? いや、それなら1人しか行方不明者しか

いないのはおかしい。少食の悪魔?・・・却下だな。

 いや、そんなことよりミヤの正体だったな。この死者の中にミヤがいたのか? 俺は新聞記事

を隅から隅まで読んでみるが、あいにく死傷者についての情報は載せられてなかった。

そりゃそうか、プライバシーは大事だもんな・・・。

 この記事に書かれている名前といえば、無視したい奴が一つあるだけだ・・・。俺は記事のそ

の部分に指を沿わしてみる、木戸(きど) 鏡志(きょうし)。あの魔法学校のいけすかねぇ教師だな。


「あいつ、口だけじゃなかったんだな・・・」


 どちらにしても、ミヤ自身が思い出してくれないとなんにもならんか。そもそも、あいつが魔力

生命体でないという確証もないわけだし・・・。やっぱり、野放しにするには危険だな。


「やっぱり、消すのが一番なんだけどな・・・」


 睡眠不足で回転数が落ち込んでいる頭で考えてもそこにしか行き着かないようだ。ここは一

度睡眠を取ったほうがいいな。そう思ってソファから立ち上がり、後ろを向いた瞬間に胸に何

か突っ込んできた。一瞬体制が崩れたが、すぐに持ち直して丁度鳩尾辺りにある頭を見る。


「・・・ミヤ?」


 他に何か言うこともある気がするが、とりあえず、それしか口からは出なかった。俺の服に

ぎゅっとしがみついている手は震えていていたが、不思議と彼女は俺に何も訴えてはこなか

った。

 しばらく、重苦しい沈黙が続いたあと、俺はため息をつきながらミヤの頭をなでる。


「別に今すぐ消したりしねぇよ、お前が俺や光喜にとって有害と判断してからだ・・・」


 ホントはすぐにでも消そうかと思っていたが、脅えた美少女にしがみつかれて断れる男がい

るだろうか? 断言しよう、ホモ以外無理だ。

 手の震えは止まったようだが未だにミヤは俺にくっついたままだ、誰かどうにかしてくれ〜。

まぁいやな気分ではないんだがな。まったく、男心を良く分かってらっしゃる。

 はぁ〜、昔から女には甘いんだよな、俺。


「悠夜〜?」


 すると、何の前ぶりもなしに寝ぼけ眼の光喜が現れた。コマンド、1.戦う 2.逃げる・・・じゅな

くて。しばらく、光喜の目が俺を捕らえるのに時間がかかっていたが、やがて光喜は現在の状

況に納得する。


「・・・俺、もう一度寝てくるから」


 光喜はなにやら赤面しながらいそいそと帰っていく。おいこら、何を考えていたなにを!?

 俺はミヤから離れて光喜を追う。リビングから出るときに後ろを振り返ったとき、一瞬だがミヤ

の口からはチロと可愛らしい舌が出ていた。まぁ、俺の視線に気が付いてすぐにしまったがな。


「ありゃ、男を手玉にするタイプだな・・・」


 どっちが使い魔でマスターなのか・・・。少なくとも俺にとって有害な可能性が大きいな。

 その後、光喜の誤解を解こうと俺が話しているうちに、光喜は二度寝してしまっていた。朝食

の時に聞いてみたが、赤い顔して知らないととぼけやがる。


「もういいか・・・」


 優雅に朝食を取っていると、優雅なひと時を邪魔する奴がインターホンを連打している。タケシ

かシャリーナだな・・・エルルは連打なんてしないし、メアにいたってはインターホンなんて鳴らす

のかどうかも怪しい。


「私が出てきます」

「いや、ほっとけ」


 立ち上がったミヤを静止してコーヒーを飲む。うむ、インスタントとは思えないこの香り、なかな

か美味なり。

 しばらくすると、玄関のドアがガチャガチャとなる。鍵ぐらいしてるさ、静かな朝の時間を邪魔さ

れたくないからな。玄関がシンと静かになると、今度は狭い庭の方から声が聞こえてくる。すると、

リビングと庭の勝手口にもなっている窓が開け放たれた。こっちは鍵をしていない、窓ガラスを

割られちゃ困るからだ。


「なんで、誰もでないのよ!!」


 シャリーナは怒鳴るような、というか怒鳴りながらそういった。

 ミヤは俺が制止した、光喜ならスクランブルエッグの皿に頭をつけて寝息を立てている、俺は

お前が嫌いだ、以上が出なかった理由だ。何か問題でも?


「・・・あの・・・その子は」


 シャリーナの後ろにいたエルルがミヤを指差しながら言う。うむ・・・なかなかいい質問だ。

どこから答えるべきか、とりあえず、陽河家の集会の話から言うべきか・・・。

 俺が当たり障りの無い完璧な言い訳を考えていると。


「ご主人様、この人だれですか?」


 ミヤがそこそこ大きな声で尋ねる。おい、マスターになったんじゃなかったのか? いや、てい

うかわざとやってるだろ、あんた・・・。


「・・・あんたも男の子やってるわね」


 シャリーナが俺を見る、若干その目に哀れみやら蔑みやら失望を感じるのは気のせいだろう

か。一応言っておくが、健全な男子は美少女からご主人様なんて呼ばれたいしないぞ。


「・・・・・・私も」


 エルルがうつむいて何か言おうとしている。まぁ、そんなとこにいないで入って俺の話を聞け。

それとも、忘却術をかけたほうが早いかな・・・。


 『説得中ですしばらくおまちください・・・。』


「大丈夫よ、言い訳しなくても・・・」

「言い訳じゃねぇ!!」


 ヒトラーにも劣らない俺の演説を聞いたにも関わらず、ふざけたことぬかすシャリーナに

怒鳴りつける。

 エルルはどうやら納得してくれたようだが、そんな悲しそうな目を向けるな・・・何もやましい

ことはねぇよ。だから、哀れむな・・・いっそのこと笑ってやってくれ。


「ねぇマスター、今度は私にこの人たちの紹介してくださいよ〜」


 ミヤはそういいながら、俺の腕にすがりついてくる。その目がエルルとシャリーナをおもしろそうな

目で見ている。こいつ、もしかして腹黒か?


「あっと・・・こぼしちゃった」


 シャリーナはわざとらしく手に持っていたコップの牛乳をこぼす。それは、テーブルからミヤの

足に垂れ流れて、足を泥に変えていった。その結果、体制を崩したミヤは崩れ落ちて床に這い

つくばっている。


「ちょっと!! 何するんですか!!」


 ミヤがシャリーナを足元から睨む。


「ごめんなさ〜い、今すぐ拭きますね〜」


 気のせいかな、台拭きで拭いているんだが、どうもそれが全てミヤの方に流れていってる

ように見えるのは・・・。


「きゃ!! もう、マスター助けてくださいよー!!」

「あら〜、ごめんなさい、気付かなかったわ」


 ふぅ〜、女って怖ぇー。そんなことを考えながらも、皿に頭を突っ込んだまま寝ている光喜

を起こして顔を洗ってくるように指示する。そのついでに、この場から逃げるためにコーヒー

の御代わりをキッチンまで注ぎにいった。


「ありゃりゃ、顔が溶け出してるわよ」

「アンタのせいでしょうが!!」

「・・・シャリーナ・・・謝ったほうが」


 女3人のみがテーブルには残され、妙にドロドロした雰囲気が漂っていた。ミヤは実際ドロドロ

してるがな。


「不可抗力よ不可抗力、豚も木から落ちるってね」

「えっと・・・猿も木から落ちるだよ・・・」


 豚はおだてない限り木にのぼらんぞ。それに、その言葉は得意分野でも失敗することを意味す

るわけで、お前の得意分野はコップの牛乳をこぼさずに飲むことだったのか?


「あはははは、バカだバカだ〜」


 ミヤが床でドロドロとしながら笑ってる。なんか、半分溶けかけてるお前はモンスターに間違

えられても仕方ない状態になっているぞ・・・。通りすがりの勇者様に切られないように気をつけろよ。


「あら、またこぼした・・・」


 おいおい、今度はパックごとですか? 飲み物を粗末にするなよ、そして、リビングを牛乳臭く

するな。あとついでだが、ミヤを修復するのも俺の仕事なんだぞ、これ以上手間を増やすな。


「エルルとメアだけだと、静かなのにな・・・」


 この前の初詣のことを思い出しつつ、あれをこの二人に置き換えてみる。・・・地獄だ、不快

指数300%オーバーだな。

 この話でだいたいミヤの位置づけが決定しました、男を手玉にするタイプで、シャリーナと仲が悪い。そして、水に弱い。ミヤに関しては、使い魔なのでその程度の認識でいいだろうと作者自身思ってます。

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