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    全員集合?

 初詣に来ていた悠夜たちだったが、迷子&その捜索などの関係で一人ずつメンバーが減り、悠夜とエルルだけになってしまう。

 だが、すぐにメアが合流し3人は参拝へと向かっていった。

「・・・・・」


 ちなみに、上の無言は3人全てのものだ。隣を歩いていたメアが俺の隣から消えたので、俺

は立ち止まり後ろを振り返ると、ちびっ子たちが嬉々とした表情で群がっている人形掬いをジ

ーッと見ている。その数歩手前ではエルルもメアを見ていた。


「それがしたいのか?」


 俺がメアに尋ねるとキラキラとした目に、口にささやかな笑みまで浮かべてコクコクとうなづく。

いやね・・・。そこに立ち並んでいる景品を見てくれたまえ。プラスチックのちみっこい人形、キラ

キラと光るカチューシャなどなど、1プレイ300円のゲームの景品としては役不足じゃないか?

1枚300円の宝くじは数億の可能性を秘めているんだぜ? そこの景品は300円出せばきっと

店で買えるものだ。


「というわけで、参拝を済ませてからだ」


 俺がいうと、メアは最初の嬉々とした表情から少しずつ下唇を噛み、目もウルウルと潤いを増

していく。やばい・・・泣きそうだ。その間もずっとメアの視線は俺の顔に向けられている。仕方な

い、そこまでしたいのなら寄っていくか。別に上目遣いの魔力に負けたわけではないぞ、人形を

掬わなかっただけで、メアの能力が暴発して参拝客に犠牲がでるのは惨めだからな。


「分かったよ、ちょっとだけだぞ・・・」


 俺のその一言を聞くと、また嬉々とした表情に戻る。セリフに乏しいくせに表情は豊かだな。


「カレシさん優しいわね」


 不意にメアを見ていた屋台のおばちゃんが言う。人形を掬うため、そして、参拝客を救うための

ポイを二つ差し出した。カレシさんか・・・真冬にシャツだけの男の隣を、男物のコートを羽織った

女の子が一緒に初詣に来ていると、他人からは恋人に見えるようだな。エルルは俺たちから1・2

歩離れたポジションに立ってるし。

 俺はエルルに視線をやると、エルルは俺たちから完全に視線を逸らしていた。いつにも増して

今日はよそよそしいな。

 そんなことを考えていると、二つのポイを受け取ったメアは一つを俺に手渡した。有無を言わさず

俺も参加しなくてはいけないらしい。

 エルルのことも気になっていたが、俺はメアとともにちびっ子の群れの中へと入っていってしまっ

た。


「・・・・てい」


 メアが小さく呟きながら人形へと攻撃を仕掛ける。人形掬がそんな激しい動作が必要な競技だ

とは知らなかったよ。


「・・・・破れた」


 そりゃね、あんだけ乱雑に扱われたらポイじゃなく虫取り網でも破れたくなるさ。こういうのは、

落ち着いて丁寧にだな。そう考えてポイを構えた瞬間、ちびっ子が勢いよくアクションを起こした

おかげで飛んで来た人形があっさりと紙を貫通した。

 メアと俺の間に沈黙が流れる。すると、後ろからエルルが近づいてくるゲタの足音が聞こえて

きた。


「お兄ちゃん・・・怒ってる?」


 どうやら俺の機嫌を確かめに来たらしい。大丈夫さ、子供相手に乱闘を起こしたりしないからさ。


「・・・・・しわ」


 メアはそういいながら俺の眉間を指で突く。眉間にしわが寄ってるのは好調の証なんだよ・・・。

深いようで浅いため息をつくと、俺はその場にゆっくりと立ち上がった。とっとと参拝を済ませて、

焼き鳥やたこ焼きなどと、行きつけの店で酒を買って家でゆっくりしたいよ。


「ぷっ・・・はははははは!!」


 ため息をつくと幸せが1つ逃げるっていうが、ついでに悩みの種を1つ追加してくれたようだ。

 聞き覚えのある笑い声のする方向を見る。そこには、マイブラザー陽河光喜君がバカみたいに

笑ってる。ついでにだが、光喜が笑ってる足元にタケシがのた打ち回っているのは幻だろうか?

たしか、置いてきた・・・訂正、忘れてきたような気がするのだがな。


「おい、こう――」


 ドゴーーーーーーン!!

 上のは俺の心の声じゃないぞ、どこからともなくダルマが落ちてきた。そのダルマは小さいなが

らも、アフリカ象顔負けの重さがあるようだ。こんな芸当ができる人物を俺は一人しか知らないの

だが。


「ご・・ごばぁ・・・・・がくっ」


 ダルマの下敷きになっていたタケシがわざとらしく気絶する。大丈夫だ、お前は結構丈夫な奴だ。

これぐらいでは死なん・・・多分。


「ゴメン、ゴメン、ちょっと暴発しちゃって」


 そういいながら出てきたのは着物姿のシャリーナだった。やっぱお前か・・・というか、お前の能力

で暴発もクソもないと思うがな。暴走したとして、どこからダルマが降ってきたんだ?


「私と光喜はこいつを回復させてくるわね」

「えぇ〜〜!?」


 シャリーナは光喜の不服そうな顔など無視して、タケシを猫のように摘み上げる。周囲の人たちは

呆然とその様子を見ている。


「じゃあ、そういうことで!!」


 シャリーナはそういうとタケシを引っ釣れてどこかへ走り去った。光喜はシャリーナの意見を無視し

て俺たちがしていた人形掬いを始めようとしている。流行ってるのか、それ?

 ちなみにだが、メアも光喜に並んで第二ラウンドをはじめようとしている。メアと俺は同い年だから

双子の光喜も必然的にメアと同い年になるはずなのだが、客観的に見るとどう見ても姉と弟だ。二

人そろって人形掬いに夢中になっている姿は微笑ましいを通り越して、呆れを覚えるよ。

 俺はそんな2人を見たあと、ふと隣にいるエルルに視線を落とした。さっきほどではないが、やっぱ

り表情が暗いな。


「大丈夫か?」

「え・・・あ、うん、大丈夫」


 歯切れ悪くそういいながら俺を見る。すぐに目線を落としてしまうのには慣れたが、表情が暗いの

は気になるよな。


「アレでも買ってみるか」


 俺はベビーカステラののれんを掲げた屋台を指差した。参拝客も先ほどのダルマ騒ぎのせいで

少しは少なくなっているので並ぶ手間がなくて丁度いい。


「せっかく来たんだし、祭りらしいことしねぇとな・・・」


 俺がそういうと、エルルは少しはにかんだ笑顔で首を縦に振る。人形掬いにしばらく熱中してい

るであろう2人を置いて俺たちは歩き出した。俺は屋台の若い男に500円の少し大きめの袋で注文

する。エルルが途中で財布を出そうとしたが、俺はそれを制止してさっさと代金を払った。


「ありがとう」


 先ほどの暗い顔などウソだったかのようないつもの顔でそういう。500円で表情が晴れるんなら激

安を通り越して極安だよ。


「よかったね、優しいお兄さんで」


 本日似たようなフレーズは2回目だよ。店の若い男性がそういいながら袋を俺に渡す。俺はその場

から離れようとしたとき、またエルルの表情が暗くなっていることに気が付いた。

 ま、500円で左右できるほど、乙女心は単純じゃないんだろうな。光喜なら120円の缶ジュースで左

右されそうだけどな。

 2人で並んで人形掬いの屋台に戻ってきたとき、そこにはちびっ子以外誰もいなかった。光喜&メ

アよ・・・本日2回目の迷子ですか? だんだん俺の癖になりつつあるため息をつくと、ベビーカステ

ラを1つ口の中に入れる。甘い・・・。やっぱ、煙草の方が30倍はうまいな。

 俺は片手でその袋をエルルに差し出すと、エルルの頭をもう片手でなでる。


「探すのも面倒だし行くか」

「うん・・・おみくじ寄って行ってもいいかな?」


 エルルは控えめにそう言った、また少し表情が晴れたがトータルマイナス15点ってところか。

 俺とエルルは2人で歩き出そうとしたとき、人形掬いの屋台のおばちゃんに呼び止められた。話の内

容は金髪美人の着物の女性にメアと光喜は景品を受け取らずに拉致されたらしい。で、俺に景品を渡

されたのだが・・・かつおぶしですかこれは? なぜこんなものを・・・というか、人形掬いとどう繋がって

きたんだこれは・・・。

 気にしたら負け、ファンタジーとはそういう世界だということを再再再再、、、、認識したよ。

 正月が完全にあけちゃいましたね〜。いつまで悠夜たちは初詣をしているのでしょうか・・・。このペースだとあと1週間くらいはかかるかもしれませんね・・・。

 あと、タケシはなんか一人だけ出てないのもなんなんで出しただけです、特に深い意味はありません。

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