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第5話「リトルエンジェル」

 魔法使い狙う魔女狩りという組織の存在が明らかになってきた・・・。これから悠夜たちと魔女狩りの戦いが始まるのかと思えてきた頃、悠夜たちは平和に初詣に出かけることになった・・・。

 クリスマスイブもクリスマスも誰も知らないので、特にイベントなく過ぎ去った。なぜ鏡志がイブ

という単語を知っていたのかは謎だが、俺はあんな野郎に興味はないんでな。

 年末は格闘番組を酒とつまみをテーブルに広げて観戦し、年越しそばを乱入してきたエルル

やシャリーナたちと食って無事・・・というにはハプニングが多い年だったが、年は越せた。


「悠夜〜、お待たせ〜♪」


 煙草を咥えながらリビングでくつろいでいた俺に光喜が話しかける。今回はややこしい前ふり

はなしだ。とにかく、大津波に襲われたヤシの実のごとく、流されるに流され初詣に行くことに

なってしまった。本当は安寧の楽園を求めて海を漂っていたはずなのにな〜。

 光喜が降りてきたあと、二階が少し騒がしくなり他のメンツが降りてきたことが分かる。


「ごめんね・・・お兄ちゃんの部屋借りちゃって」


 もじもじと恥ずかしそうにしながら現れたのはエルルだった。いつものトンガリ帽子の変わりに

金ぴかの蝶の髪飾りをし、赤い着物姿だ。夕方ぐらいから来ていた女性陣は、俺の部屋を侵略

して着替えをしていたのだ。

 顔を赤らめながら俺の顔を見たり、視線を下げたりを繰り返しているエルルの後ろからシャリー

ナが顔を出した。


「どう、似合ってるでしょ」


 エルルの両肩に手を置き、他人のことなのに誇らしげにそう言った。


「ああ、よく似合ってるぜ」


 俺はお世辞ではなく素直な感想をエルルに言う。エルルはよほど恥ずかしかったのか、顔を真

っ赤にしてうつむいたまま固まってしまった。


「あ・・・ぁりが・・と」


 呂律が回ってないぞ。エルルはさらに肩をガチガチに固めてしまっている。そんなエルルの後ろ

から回りこんでシャリーナが前に出た。淡い青紫色の着物に、いつものツインテールではなく着物

にあわせて髪を結っているシャリーナは、わざわざ俺に着物を見せびらかす。


「どうよ」


 自信満々に一言俺に投げかけるシャリーナ。


「高そうだな」


 これまた素直な感想をぶつけてやる。


「そうじゃないでしょ!! ほら、似合うね〜とか羽子にも衣装とか」

「シャリーナ・・・馬子にも衣装・・・」


 シャリーナの後ろでエルルが言う。それに付け加えるならそれはほめ言葉ではないぞ。シャリーナ

の機嫌が45゜ぐらい傾き、エルルの両頬をつねりだした頃。その2人の後ろから最後の女性陣が姿

を現した。真っ白な生地と、真っ赤な帯、淡い赤や青のアサガオの模様が彩られた服で姿を現した

その女性はいつもと変わらない髪形と表情で俺を見たあと首をかしげた。


「キレー、よく似合ってるよね♪」


 光喜がその容姿を賛美する。いや、否定はしないぞ・・・否定はしないが・・・。


「メア・・・それは浴衣だろ?」


 メアは自分の着物をマジマジと見つめる。どうかんがえても浴衣だと思うぞそれは・・・。


「・・・・似合わない?」


 そんな悲しそうな目で言うなよ。似合うさ、似合うとも・・・。だがな、今この状況だと、月とすっぽんく

らい違うんだぞ。


「・・・・月」


 いや、浴衣はすっぽんのほうだよ。着物が月だって。


「いいじゃない、そうめんと冷麦程度の差しかないって」


 シャリーナが適当に言う。てめぇ、そうめんと冷麦の差を舐めるんじゃないぞ!! 俺は半分にきった竹

に流れてくる冷麦なんて食わねぇぜ。


「・・・・脱ぐ?」


 そういいながら帯に手をかけるメア。脱がんでいい、ちびっ子だって読んでるかもしれないんだ、それ

をしちゃあまずい。


「じゃあ、オールオッケーということで!!」


 なぜかシャリーナが締めくくる。オッケーはだしちゃいねぇ・・・。そんな俺の心境など無視してシャリー

ナは玄関へと歩き出した。俺たちはぞろぞろとそれにつられて家を後にしていった。

 ん?・・・誰か忘れているような・・・。

 ふと頭の中に赤髪の男の姿が浮かんだ気がするが・・・気のせいだろう。

 クリスマスはないが、正月はある。ファンタジーの世界はやや仏教を信仰している世界のようだ。天使

や悪魔は普通に存在するが、仏なんてものは見たことがないからな〜、人は見えないものを神様にした

がるものらしい。

 神社について、シャリーナの一言。


「じゃあ、除夜の鐘がなるまで屋台で遊びまくるわよ!!」


 こいつはバカか・・・。


「まずは賽銭箱に行くのが普通の順路だろう、それと、除夜の鐘は12月31から1月1日にかける深夜だけ

だ、あと、除夜の鐘をつくのは寺であって神社ではない」


 いっきに3つの事をツッコム俺を口をへの字に曲げて睨む。睨むな、お前が悪い。


「あの・・・お兄ちゃん?」


 シャリーナと睨めっこしていると、エルルが控えめの声で呼んでくる。


「メアちゃんと光喜くんは・・・・」


 エルルの言葉で周囲を見る。家から神社までは、ほぼ直線的な道を5分、神社に到着して現在3分。計

8分にして迷子2名。


「・・・・」


 5人いたはずだが、現在3人となった一行に沈黙が流れる。我が弟よ、方向音痴なのは知っていたがど

ういった経路で迷子になったのだ・・・。


「仕方ねぇな・・・あいつらを探――」

「私が行ってくるから、2人は屋台を回ってて、丑満時に鳥居の前に集合よ!!」


 そういって俺の意見も聞かずにダッシュしていくシャリーナ。下駄でなぜそこまで速く走れる。というか丑

満時がいつか知っているのか、午前3時だぞ3時、そんな時間までいるわけねぇだろ。

 そして、結局はエルルと2人きりにされた俺だった。


「仕方ねぇな、また付き合ってくれるか?」


 俺はエルルをみながら言う。二人並ぶと身長差のため、俺が見下ろすカタチになってしまう。


「う・・・うん・・・」


 エルルが照れるように目線を逸らして返事する。じゃあ行こうか、そう一言言おうとしたとき、俺とエルルの

顔の間に白いモコモコした物体が割り込んできた。


「・・・・・食べる?」


 そこには、迷子2号であるメアが綿菓子をもって立っていた。その手をみると、杏飴に水風船、頭にはピカピ

カと電飾のおもちゃ。その容姿から、メアが迷子になった理由は一瞬で察することができた気がする。

 なんの伏線もなく、年末に書いてしまっていた話です。時期に流され、3〜4日に1回という投稿ペースを律儀に守っていたせいで、正月がとっくに過ぎてしまいました。

 でもま、俺が好きなメアとエルルの両方を出せたのでよかったと思う、独りよがり気味な話です。

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