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    因縁の対決?

 タケシの情報で偽悠夜を探しに来た、悠夜と光喜とタケシ。

 タケシはほぼ見せ場もなく、特に役に立たないまま、ダンジョンにいた少年から偽者が向かった先についての有力な手がかりを得て、悠夜たちは偽者の元へと向かっていった。

 俺たちが長い廊下を渡った先にあったのは、戦いにはおあつらい向きといった闘技場のように広い部

屋だった。その部屋の中央では魔法使いと、巨大な青いわたあめに目と手足がついたようなモンスター

がいた。モンスターはどっかの高速道路を疾走しているデコトラよりもでかく。それにくらべて、魔法使い

のほうはなんともまぁ小さな子供だ・・・。というか、さっきから杖で殴りかかっているようだが、それが君

の戦法なのか?


「杖とハンマーを間違えたのかな?」


 光喜がマジメな顔で言う。


「そんなわけあるか・・・。どうせMPが切れて魔法が使えないんだろう」


 最悪のケース、魔法を覚えていないという可能性も否定できないがな。俺の言葉の後にタケシがモンス

ターを指差す。


「けど、あれって一応ダンジョンのボスっしょ。俺なら引き返すけどな・・・・」


 てめぇは何をぬけぬけとぬかしてやがる。その退路である部屋の床をぶち壊した原因はどこのどちら様

でしょうかね〜。


「あ・・・」


 タケシがそう小さく呟き、俺と光喜は目を見合わせた後ため息をつく。仕方ない、見殺しにするのも癪だ

し助けにいってやるか。俺がそう思い、一歩踏み出した瞬間、俺たちとは反対側にある通路から炎がの塊

が飛んできた。その炎はわたあめに直撃し燃やし尽くしていった。まぁ、燃やすというよりは砂糖なだし溶

かしたという例えのほうが近い燃え方だな。

 そのわたあめのお化けと戦っていた魔法使いの子はヘナヘナと座り込んだ。どうやらかなり消耗してい

るようだな。


「大丈夫かい?」


 すると、爽やかな感じの声が聞こえてきて通路から誰かが現れた。その瞬間、俺の中で何かが憤るのを

感じた。


「あ・・ありがとうございます」


 魔法使いの子が例を言う。遠巻きだったので分からなかったが、声的に女の子だろう。その魔法使いの

子は自分を助けてくれた黒い長髪に黒いコートを着た人物の手を取り立ち上がった。


「ふぇえ!? あれってもしかして」


 光喜が訳のわからん驚き方をしながらそいつを見る。


「えっと・・・お名前は?」

「俺かい? 俺は陽河悠夜」


 俺たちの詮索していた事実を裏付けるかのようにそいつはそう名乗った。まだ遠いから顔までは見えな

い。だが、俺の名を名乗る黒い長髪の男・・・。そんなもんアイツしかいねぇよ。


「・・・見つけたぜ」


 小さくそう呟いたとき、微妙な違和感があった。遠くていまいち核心はないが・・・もしかして・・・。

 俺が考えていると、その陽河悠夜さんは俺に気が付いたようで目線を一度こちらにやったあと、もと来た

道を走り出した。


「追うよ悠夜!!」


 光喜の声にせかされて俺は奴を追い始めた。途中に未来の大魔法使いちゃんにダンジョンを抜けるため

のアイテムを渡していたため、少し時間をくったが、奴はそれほど速いスピードでは移動していなかったため

次の部屋で俺たちは奴を追い詰めることになった。

 ちなみにだが、奴を追い詰めるにいたってなんのドラマもアクションも存在していない。ただ、走ってただけ

だ。あえて何か言うとしたら、タケシが遅い、以上。


「追い詰めたぜ偽者!!」


 一人だけ息を切らしながらもタケシが猛々しく俺の偽者さんに言う。すると、そいつは俺たちの方に向き直

ると何か小さな声で呟いた。さっきよりも少し偽者との距離が短いため、さっき抱いた違和感がより鮮明にな

ってくる。やっぱりだ・・・。俺は自分に確信を持つために偽者へと近づいた。

 俺は偽者との距離を縮めていくが、偽者は逃げることも、迎撃することもしてこない。そして、偽者との距離

が2メートル前後になる。ここまで近づかなくても俺は核心をもてたのだが、中途半端な距離で止めるのもな

んだから会話に支障がない距離で止まることにした。


「ほ、本物だ〜!!」


 すると、偽者さんのキャピキャピした声が響いた。服装と髪型は俺と同じだが、偽者はスカイブルーのキレ

イな瞳をしていた。あと、この距離だと俺が抱いていた違和感がはっきり分かる。背が低い、それに、肩幅も

狭い。そしてとどめの一撃としては、コートの上からでは少し分かりにくいが胸に膨らみがあることだ。結論を

言おう、コイツは女だ。俺が探している奴は男だ。


「お久しぶりです」


 彼女はいきなりそういって頭を下げた。お久しぶりです? はて、俺は自分と同名の女の子に知り合いは

いないのだがドコのダレでしょうか?


「このまえ、モンスターに襲われて大変だったところを助けてもらった僧侶です」


 そういって彼女は自分の髪を引っ張ると、それはカツラだったようで簡単に取れ、黄緑色の短い髪が姿を

あらわした。そういえば、こんな子を助けた覚えがあるな・・・。たしか、レベルの高いダンジョンと知らずに

やってきた、レベル2の初心者だ。普通は僧侶一人でダンジョンには乗り込まないのだが、それさえも分か

らずやってきた初々しい子だな。


「えっと・・・・背中に呪印ある俺の偽者って・・・・」

「あ・・・はい・・・じ、実は・・・」


 そういって彼女は俺に手帳と名刺のようなものを差し出した。名刺のようなものを見ると『YU-YAファンクラ

ブ』会員ナンバー86番 アナエルと書かれている。アナエルというのが彼女の本名なのだろう。そして手帳

を開くと、俺の隠し撮りとしか思えないような写真があり、その中には背中の呪印がはっきり映し出された写

真まであった。


「裏取引で買い取った写真なんです。この前のイベントの時はタトゥーシールで呪印まで再現したカッコをして

たんです」


 彼女は顔を真っ赤にしながらそういった。


「僧侶も辞めて、悠夜さんと同じ魔法戦士に転職して、同じメーカーのコートも買って・・・」


 つまりなんだ・・・。よく言えばコスプレ、悪く言えばストーカーじみたことをしていたわけだ・・・。俺のマネで

初心者を助けるような活動がしたかったが、自分もレベルが低いため、こんなへんぴな所でした人助けがで

きないと。


「・・・くく・・・ぷっ」


 後ろでは光喜が笑いたいのを精一杯こらえているのが分かる。


「あの・・・もしかして迷惑でしたか?」


 彼女はそういいながら俺の顔を覗き込んできた。偉く純粋な目だ・・・。俺はこういうのには甘いんだよな。


「ほら・・・お前も帰れなかったんだろ?」


 俺はさっきの魔法使いの子にも渡したダンジョン脱出用のアイテムを彼女に渡した。そのあと、彼女の頭に

ポンと手を置いた。


「俺を参考にするのは構わないが、マネをするのはやめろ・・・。俺の名前を聞いただけで襲ってくるような奴も

いるんだから」


 俺は頭の中でこの前戦った亜人やヤクザを思い出す。こんな子が奴らに襲われたら5秒で負けるだろう・・・。


「わかったか?」

「は、はい」


 彼女からの返事をもらった後、彼女の俺のマネをしていた期間の武勇伝や俺のファンクラブの全貌などを

聞き、ひとしきり話し終わったあと彼女はアイテムを使って帰っていった。その間、俺の顔が穏やかだったの

は無理やりではなく自然にそうなったものだ。


「じゃあ、俺たちも帰りましょうか」

「タケシ・・・」


 俺に背を向けて帰ろうとしていたタケシを呼び止めた。


「は・・・はぃ?」

「まさか・・・お咎めなしだとは思ってないよな?」


 自分でも分かる。さっきまで彼女と話していたときとはオーラが違う・・・。殺意と憎悪が霧のように立ち込め

るものだとしたら、このお菓子の城は真っ黒に染まっているだろう・・・。

 かくして、この日の騒動はこれにて終了である。この後タケシがどうなったか・・・それを全て伝えてしまうと

教育上よくないことが起きるので秘密としておこう。

 それにしても、あの写真は誰がいつとったんだ・・・。俺は背中に軽い寒気を感じながら帰路へとついた。

 まぁ、因縁の相手はこんなところには出ません。

 もっとちゃんとした舞台で出る?予定です。

今回の話は、タケシというキャラが居たということだけ頭に残してもらえればそれでいい話です。

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