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    トラウマ?

 無事、ヤクザ組みのような連中を一掃した悠夜とエルルだが、まだ亜人が残っていた!?

 俺の目の前には牙をむき出しにしている狼の亜人がいた、バカデカイ斧を構えたそのワンちゃんは

どうやらかなりご立腹のようだ。

 亜人の顔を見極めることは難しいが、多分こいつがお頭の亜人Aだろうな。残りの亜人がいないの

は、光喜とシャリーナが頑張ってくれてるんだろうな、いや、今は追跡者AとBという設定だったか。


「貴様許さんぞ!!」


 そういいながら斧を振り上げる、俺とエルルはそれぞれ反対方向に跳躍して攻撃を回避する。

本物の黒猫をメアに預けて正解だな、今猫がいたら邪魔でしかたない。


「貴様は二度も我々のギルドに楯突くというのか」


 亜人Aが俺にそういう


「俺は初対面だと思うんだが・・・どこかであったか?」


 前世とか、お母さんのお腹の中に居たときとか、訳のわからんことだけは言わんでくれよ。


「とぼけるというのか!! 私は覚えているぞ、お前の背に刻まれた黒いツタの刺青を!!」


 亜人がそういったとき、俺の中で何かのスイッチが入っちまった。


「ぐはぁあ!!」


 次の瞬間には、俺の蹴りが鎧を砕き亜人の骨をボキボキと鳴らす。亜人の口からはおびただしい

程の血が吐き出され、蹴られた腹部を押さえながらその場にうずくまってしまった。

 俺はその頭をわしづかみにして、そいつの頭を上げさせた。


「言え、いつ、どこで、そいつにあった・・・」


 俺が静かにそういうと亜人は唸るような声を出した


「12年前・・・この町でだ・・・」


 バカ野郎が、12年前だと俺は幼稚園児だよ・・・まぁ、このファンタジーの世界では300歳まで生きる

人間がいたりもするから、見た目では年齢は分からんがな。

 俺はそのまま亜人を睨みつけた。


「それは俺じゃない・・・そいつについて知っていることがあるなら、洗いざらい吐け」


 そういいながら肋骨が折れたであろう腹部に軽く蹴りを入れる。唸り声を漏らしながら傷みをこらえ

ているようだ。


「お・・兄ちゃん・・・」


 エルルが怖がっている様子だが、俺にはそれを気遣う心の余裕は残されていなかった。


「知らん・・・ただ、長い黒髪と背中にツタの刺青のようなものがあったことしか・・・私のギルドはそいつに

一度壊滅させられたのだ・・・」


 亜人がそういい終わったとき、俺は乱暴に亜人の頭を解放する。亜人は固いコンクリートの上でうずくまる

ひれ伏した。


『・・・俺が憎いか?』


 っつ!!・・・ズキズキと頭が痛みやがる、12年前のあの日にあった奴の言葉が頭の中に何度も何度も木霊した。

やっと見つけたと思ったのに、俺と同じ呪印を持つ男を。

 俺は自分の肩を握り締めた、かき消そうとしても頭の中にはあの日の思い出が次々とわいてくる。


 薄暗く狭い部屋だった、床の上に座り込む俺の目の前には俺の毎日寝ていたベットがあった。

そのシーツは赤く染まり、壁にはベッタリと真っ赤な血がついている。

 しばらく、それが何か分からなかった。いや、分かりたくなかった。ベットの上で無残な肉片となったモノが着て

いる服は、母親の服に良く似ていた・・・違うのは血で真っ赤に染まっていたということだけ・・・。

 そして、それを見下ろすようにベットの傍には背中に黒いツタ状の模様がついた長い黒髪の男が立っている。

 その男は俺に視線を落とし、その後俺の額に指を当て・・・・


「お兄ちゃん!!」


 俺はエルルの叫び声で現実へと引き戻される。


「大丈夫?」


 エルルは涙目で俺の顔を覗き込む。


「ああ、平気だ」


 俺は冷や汗をきながらも、営業マン顔負けのスマイルで答えてやる。まさか、あの日、この呪印がついた日の

ことを思い出しちまうとはな・・・・そう思いながら肩を握り締める。

 そう、俺の背中にもあの呪印がある・・・あの日、あの男が俺につけた呪印が・・・。


「さぁ・・・帽子買いに行こうか」


 俺は邪念を取り払いながらエルルの頭をなでた。エルルは心配そうな目で俺を見ていたが、俺が大サービスで

微笑みかけてやるとエルルも嬉しそうに笑った。まったく、普段仏頂面しかしない俺がここまで自然に笑えるとは・・・

自分でも驚いているよ。

 しばらく、エルルと2人でそうしていてもよかったのだが・・・そんな2人のムードを無視して、けたたましいサイレンの

音が街に響き渡った。


「やべぇ、サツだ!!」


 俺はとっさにエルルの手を握り締める。エルルは「アッ!」と小さな声を上げた。


「逃げるぞエルル」


 俺がそういうと、エルルはにっこりと笑った。


「うん♪」

 少しばかり、悠夜の過去に触れていきたかったのでこういう感じになりました、現段階では悠夜をピンチに追い込む敵は現れないでしょう

 もしも、悠夜を追い込むとしたら、光喜とか、メアとか・・・まぁ、味方でしょうね。

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