プロローグ 「世界に失望する者」
昔投稿小説として書いた小説のキャラを使いまわした小説です、タイトルのツインとは、そのシリーズという意味でついています。
排気ガスによどんだ生ぬるい風が吹き抜けた、
長い黒髪は風に揺られ、煙草の煙は細い糸のように風に流されていく。
「――神殿では、この1ヶ月で魔法使いへの転職が3割を占め」
巨大なビルに取り付けられたモニターには、女性リポーターが
雑学にもならないようなくだらない情報を流し、その眼下には
まるで、アリのようにうじゃうじゃとコスプレ衣装みたいなカッコの人間や
剥いで売れば高そうな毛並みの亜人どもが行き来している。
「うざいんだよな・・・」
俺はそういいながら、風で乱れた黒髪を整えると携帯のモニターを見た
あいつと約束した時間から15分過ぎた。
俺の名前は陽河 悠夜、長い黒髪をしているが
れっきとした男だ、目は黒色、身長は高いほうで、衣服は黒いコートを羽織って―――
いや、それよりも、このいかれた世界について話す必要があるな・・・・
小さな頃、誰もが正義のヒーローに憧れ、ワクワクする冒険や
手に汗握る戦いをしてみたいと思ったことがあるのではないだろうか?
この世界は言わば人の夢を具現化した世界・・・・
何をバカなことを言ってるんだ、と思う奴もいるだろう、
だが俺はいたって正常だ、おかしいのこの世界の方だ。
最近の子供は冒険に憧れる一方、変なところで現実を直視している
その矛盾が生んだ世界、それが、高層ビルが立ち並びながらも
勇者や魔法使いや魔物などが町を闊歩するこの世界だ。
俺はそんな世界に迷い込んだ一般人ではない、生まれて十数年間
ずっとこの世界に生きている。
ただ、俺はこれでも有名な魔法使いで、他の世界を覗ける力まで持っている
そのおかげで、この世界がいかにバカらしい世界なのかが分かった
まぁ、分かったところで俺にはどうすることも出来ない、
魔法戦士の俺がどうあがいても、この世界は正常な姿に戻らないし
この世界が正常な世界に戻ったとき、他の世界は夢も何もないくだらん世界になってしまうわけだ。
「悠夜〜〜」
などと、世界にいちゃもんつけていると待ち人が着た
こいつの名前は、陽河 光喜
俺と同じ黒髪に黒い瞳、少し長めの髪をウニみたいにツンツンに立てている
身長は俺より30cm程度低い、これでも俺の双子の弟だ、
双子でなんでこんな身長差があるかというと・・・まぁ、ファンタージーな夢の世界では
何があっても驚かないのが、この世界なりのマナーというものなのだ。
「ふぇ? どうしたの? なんか眉間にしわ寄ってるよ?」
「生まれつき、こういう顔なんだよ」
俺が言うと、光喜はボケーッとした童顔で顔を覗き込んでくる
「やっぱり、遅刻したこと怒ってたりする?」
「そんなに怒ってねぇよ、ただ、お前の手を灰皿代わりにでもしてやろうかと思ってたところだ」
「う゛〜、ごめん」
俺が睨むと、光喜はしゅんと縮こまってしまう、一応言うが本気ではない
まぁ、俺らの間での挨拶みたいなものだ。
「ほら、ダンジョン行くんだろ?」
「ふぇ・・・・うん♪」
さっきまで縮こまっていた光喜が、ニパッとした笑顔をしながら
小さなバッグから剣を取り出した。
どう考えてもバッグの方が小さいのだが、一定の種類の数までなら
どんな大きさでも入るというバッグだ、いろんな種類を一個ずつ入れると
15種類くらいしか入らないのに、同じ種類なら99個入れても平気という
まさにツッコミどころ満載のバッグなのだが、ファンタジーの世界の
メルヘンな4次元バッグにツッコミを入れたところで、この世界の誰一人として
これを不思議とは思ったりしない、まさにご都合設定な世界だよ・・・・
「じゃあ、行こうか悠夜」
光喜の無邪気な笑みに誘われて、俺は咥えていた煙草を排水溝に捨てる
排水溝の中には、既に何本もの煙草の吸殻があった
ファンタジーの世界が呆れるぜ、中途半端に現実的過ぎるんだよ。
「悠夜〜、速く〜」
待ち合わせの時間に遅れた奴が、ぬけぬけと抜かしやがるぜ・・・
こうして、俺たちの目的も何も分からないダンジョンへの冒険が始まった。
あぁ、始まってそうそうなんだが、俺は未成年だが、
これを読んでいる未成年の諸君は、煙草はマネするな、あと、酒もダメだ
俺のように二日酔いに悩まされるような日々を過ごしていると、立派な大人になれないぞ。
ちなみに、俺はメルヘンの力でそのへんは大丈夫だ・・・・多分な・・・・
プロローグなので、世界観だけ分かってもらえればそれでいいです、今回は悠夜視点ですが、たまに光喜視点になるかもしれません、極力悠夜視点をキープしたいのですが、困難かもしれないですね。
まだまだ至らないところもあると思います、何かアドバイスや注意点がありましたら、ご教授願います。