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#5

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「嫌っ!!離して!!」


暗闇の中…取り囲む男達の声だけが…聞こえる。


「暴れんなこのガキっ!!」


「触らないで!!」


手足を縛られているので満足に抵抗も出来ない。


「うるせぇな!!自分の立場分かってんのか!!」


「大人しくしないと…痛い目見るよ?」


男の内の一人がナイフを取り出す。冷たい刃の腹が頬に当てられ…黙るしかなくなる。


「それで良い。良い子だ」


ナイフがワイシャツのボタンを縫い付けている糸を切っていく。


「…母さん…」


多分、助けは来ない…この状況を知る者は…いないのだから…


「殺せって命令だからな?悪く思うなよ?」


命令?誰から…?


「化けて出るなよ?」


真っ先にお前の所に化けて出てやる。


「だがまあ…その前に…」


ケダモノめ…絶対に許さない…


そう…「絶対に許さない」


男の手が伸びようとした刹那


「…を離せ…!!」


一人の少年の声が聞こえた。


「…どうし…て…?」


「離せよ!!お前ら!!」


少年は物怖じせず、近寄ってくる。


「だめぇっ!!逃げて!!」


だってこいつらは…


「何だ?お前?この嬢ちゃんの知り合いか?」


「ひょっとして彼氏?勇敢だねぇ?そしてバカだ!!」


「黙れっ!!」


「黙んのはお前だよ」


こいつらは銃を持って…


次の瞬間、渇いた銃声が響いて、私の視界が真っ赤に染まった…



「っ!?」


目が覚めた私は布団から跳び起きた。


「はあ…はあ…また…あの夢…」


夢と言いつつ、これは私の…藤咲菜月という少女の古い記憶だ。現実に起こってしまったこと…


過ぎた時間は戻らない…勿論、私の記憶も…


「…強くなんかないよ…今もこんなに苦しいのに…」


この夢を見る度に、胸が締め付けられるように痛む。勿論錯覚なのは分かっている。


けれど…


「…私は人殺しになっちゃったよ…あはは…」


届く筈も無い言葉…今も彼の笑顔だけはこんなにも鮮明に…


「…くん」


だから私は待ち望んでいる…私が裁かれる日を…


鎖雛には廃工場も沢山ある。文明の波に追い込まれ遂には廃業になってしまったそれらでは、裏取引が成されていることもある。


「さて、どうしますかねー?」


少女は巨大な得物を担ぎながらパートナーである僕に尋ねる。


「いや…どうするも何もやる気満々なんじゃないかな?それ」


問われた僕は呆れながらも的確なツッコミを返した。まあ何時ものやり取りだが。


現在、僕達は取引を見張っている所だ。


「朱空さん、穏便に済ませることって出来」


「無理だと思いますよ」


即答だった。


「真雪さん、武装してるんですからそれは無理ってものです」


あっけらかんと言い放つ先輩に僕は頭痛さえ覚える始末だった。


「朱空さん、僕達の今日の仕事ってさ…」


「新しい発明品の試運転ですね」


僕の先輩である朱空夏深さんは発明が大好きだ。良く『いや、それオーバーテクノロジーなんじゃ』って物を作っては工場長に許可を取って廃工場で試して見たりする。つい先日も試運転をしたが、その時もこんな状況だったっけ…


今回はまだ見つかってないだけマシだろうか?


「面倒くさいので片付けましょう」


そんな爆弾発言が直ぐ近くで聞こえた。


「…僕は今出て行くことの方が面倒な気がするかな…」


「どちらにしても面倒なら手っ取り早い方が良いですよ?それに真雪さんも本当はワクワクしてるんじゃないですか?」


「してないよ!?寧ろ心臓がバクバク言ってる位かな!!」


僕の『頼むから出て行かないで!!』という必死の訴え虚しく…


「私の発明品の試運転が待ちきれないわけですね!!それなら!!」


「だーかーらーっ!!」


「おい!!そこで何をしている!!」


…大きな声を出し過ぎたのか、振り向くと屈強な黒服の男が立っていた。


まあ…何だ…結局はこうなるわけかな…


「真雪さーん、伏せて下さいね」


そう言うや否や、朱空さんが巨大ハンマーをフルスイングする。


屈強な男は銃を構える暇も無く簡単に吹き飛ばされた。ごぅんと鈍い音が辺りに響く。


しかし、吹き飛ばした場所が悪かった。屈強な男は取引の真っ最中である仲間の所へと一直線に突っ込む。


「っ!?誰か居るのか!!」


「まさか聞かれてやがったのか!?くそっ!!」


「探せ!!逃がすとマズい!!」


うわ…最悪だよコレ…どうしよう…


こうなってしまった元凶である朱空さんは顔で『やっぱり片付けましょう』と語ってるし…


僕が唸っていると、工場から連絡が入った。


『真雪くん。現場には付いたか?』


「あ、工場長!!それどころじゃないですよ!!闇取引にばったりです!!」


『何時も通りじゃないか。まあ朱空くんがサッと片付けてくれるだろうさ』


この人達に常識は通じないらしい…


「…それは…そうですけど…」


『…真雪くん、通信機を通して、既に車がひしゃげる音やら轟音やら人を殴打した時のような鈍い音やら『そーっれっ』という声が君の背後から聞こえるんだが…?』


既に御暴れになっていらっしゃる!?


「…とにかく、止めてきます」


『…どちらをだ?』


「どっちもです!!」


僕はヤケクソになって言い放つと、愛用のモップを手に、最早戦場と化した廃工場へと駆けていった…



AM4:20


「うん。上出来♪」


悪夢を見てから結局眠れなくなってしまった私は気分転換にお菓子作りをすることにした。お菓子作りは私の数少ない趣味の一つだ。


「…けどムシャクシャしてたって言っても…」


流石に1ホールは作り過ぎたかな…どう処理しよう…これ…


気分が落ち込んでいたため特にアイデアは浮かばず、何の変哲も無いショートケーキだが、一人では流石に食べきれない。


仕方ない、何だかんだでお世話になってるし、先生にでもお裾分けしよう。どうせ今日の昼には押し入ってくる筈だ。


私はデスクから一枚の資料を取り出す。


「名前は『国木田 史熊』…十年前に死んだ筈の爆弾魔。そしてエクシード所持者か…」


…やっと見つけた…


あの日、彼を殺した組織の一人…


「どう考えても明確に狙い過ぎね…」


ここ最近のこいつはあからさまに私を狙ってきている。


「…復讐なんて何にもならないけど…」


それでも…


「許せない…」


私が国木田を仕留める為にクリアーしなければならないことは2つ。


1つは直接の接触の回避。足が付いてしまうと後が面倒なのでこれは避けたい。


2つ目は自警団。自警団が先に真相に辿り着いてしまうとマズいことになる。収容されてしまった場合、仕留めるのはとても困難になるのだ。


これらの事を踏まえて考えると有効なのは…


迅速且つ正確な狙撃…


後は居場所と決行日…出来れば混乱している場がベストだ。


「…ああ、自警団を味方に付ける…ってのも有りよね」


せっかく自警団に知り合いが居るのだから…これを使わない手はない。


となると問題なのは狙撃手だ。


「…此方は此方で人員を調達して置かないとね」


あくまでも私は動けないのだから、自由に動くことが出来る人間が必要である。


とは言え先ずは自警団だ。


「…私を狙ったツけはきっちり払ってもらうよ…」


勝負は四度目の犯行…五度目はない。



翌日


「藤咲、少し良いか?」


剣道を終えて帰ろうとした所を私は神無月師範に呼び止められた。


「はい?何ですか?」


この時間に神無月師範から呼び止められるのは珍しい。と言うのも彼は決まって直ぐに帰るタイプなのだ。


「あ、いや…少し長くなるだろうから、飯でも食いながら話せたらと思うんだが…」


師範の真剣な顔を見ていると断る気にもなれず私達は近場な喫茶店で話すことにした。

まだ特に動き無しですが友人のキャラがちらほら…

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