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第二章 Your love has set us free④

第四話 食事

「ラグくーん!」

ざわめきの中で、その声はよく通った。


天井の高い大食堂。

長机が規則正しく並び、軍服の群れが波のように動いている。

食器のぶつかる音、笑い声、仕事の声。


窓際のテーブルからミレイが立ち上がって手を振っていた。

向かいにディルもいる。


「食堂って三つもあるんだな!ここが一番広い?」

「そうだよー!ここは通称“大食堂”!メニューも一番豊富なのさ!」

ミレイはふふんと胸を張る。


「形式は同じだ。取って来い」

トレーを持って列に並ぶ。


肉、魚、揚げ物、山盛りのパン。果物も。とにかく多い。量も種類も。

気づけば山になっていた。


「げっ!そんなに食べるの?オニだから??」

「えー?あーそうなのかな。もったいないし」


席に戻ると、近くの何人かがちらりとこっちを見る。

視線はすぐ逸れるけど、慣れている感じがした。

ディルはそれに気づいているのかいないのか、静かに食事を始める。

今日は少し柔らかいディルだ。


「訓練はどうだ?カイル少尉、オンオフ激しいだろ」

「あー、ヒゲニーな。基本オンだよ。魔力操作やってるけど、まだイマイチだな」

「感覚だからな。掴むまでやるしかない」


「ていうかヒゲニーって」

二人が吹き出す。


「お前、それ本人の前で言うなよ」

兄貴がいたら、こんな感じなのかなと思う。


「二人は?訓練しないの?」

「んー、しないこともないけど、私たちは仕事があるから」

ミレイはいつも笑っている。


「仕事?」

「私は開発部に出入りしてるんだ。ほら、私魔導隊員なのに物浮かせるくらいしか出来ないからさ。実戦では補給メインなの。武器の質量とか、一度に運べる量とか計算しててね。あ、一般補給隊のオペレーションとかも一緒に考えるんだよ!」

「へーなるほどー」

「興味…無さそうだよね……」

「ラグはまだ実戦経験がない。仕組みが分からないんだよ」

「そ、そーそー!ディルは?」

「ラグの訓練が終われば俺たちは一班だ。対魔部隊の新任班は、各地のはぐれ魔獣討伐が主な任務だ。班の調整や報告書も山ほどある。……お前の書類もな」

「え、ありがとうございます」

「それに国境戦線にも周期がある。それまでは各地を回る」


国境。

さらっと言うけど、少し重い。


「サイラスは?」

「もうリハビリ始めてるよ!平時はひたすら軍備整備!」

「よかった。強いよな。あいつ。一度ゆっくり話したいんだ」


その時、ディルの視線が一瞬だけ鋭くなった。


「さー、デザート!」

ミレイが席を立つ。

「……サイラスと手合わせしたいか?」

少し低い声。


「え?なんで戦うの?」

ディルは笑った。


「いや、なんでもない」

なんで仲間と戦うんだ?


戻ってきたトレーには山盛りの果物。

「うわ。俺が果物好きって知ってたの?」

「だって常に魔力出てるんでしょ?果物は魔力の源なのさ」


魔力ってなんなんだろうな。

少し頭をよぎる。


でも、今は。この時間がいい。

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