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第二章 Your love has set us free②

第二話 到着

でかいコンテナみたいな車だった。

窓はない。揺れも少ない。外がどうなっているのかも分からない。

軍の車って感じだ。


サイラスってやつは大怪我だったらしい。まあ、もう治るだろ。

あいつ強かったし。


ーー四時間。

長いのか短いのか、よく分からないまま車は止まった。

扉が開く。

光が眩しい。

やっと外だ。


「本部に着いたら適正検査と簡易試験を行う。その後登録。訓練が始まる。……がんばれよ」


到着までほとんど喋らなかったディルが、降りる間際に言った。

「おう」

とりあえず返事をする。


外に出て、足が止まった。

でっか。

平原の真ん中に、巨大な建物群が広がっている。

上から見たらT字らしい。昔、誰かが言っていたのを思い出した。

左の棟からは低い爆発音が響いている。

右の棟からは怒鳴り声と金属音。


真ん中が一番でかい。

威圧的だ。

囲いも高い。門も分厚い。

逃げられなさそうだな、と思った。


ーーー


五日が過ぎた。


飽きた。

俺は牢屋みたいな個室で天井を見ている。

白い壁。

鉄のベッド。

小さい窓。

あー疲れた。

病気の検査とかで血を抜かれ、あちこち触られて、中途半端な筋トレ。

文字の読み書き。

さすがにバカにし過ぎだろ。


あいつらは何してんだろうな。

じいちゃん元気かな。町のやつらも。

まあ、生きてるだろ。

明日はなにすんのかな。


ーー決まった時刻に運ばれてくる夕食を待ちながら、窓の外の夕日を見る。

広い敷地の向こうで、訓練みたいな掛け声がまだ響いている。


ーーコンコン


「ラグ・グニル。食事だ」

「ありがとうございますー」

扉の小窓から差し出されるトレイ。


……刑務所ってこんな感じなのかな。


「明日は九時からだ」

世話役はカイル・ソウ少尉。

二十代らしいが口髭をきっちり整えている。

俺は心の中でヒゲニーと呼んでいる。


ーー翌日。


ヒゲニーに連れられて地下へ向かう。

階段を降りる。

一段降りるごとに、音が減っていく。

地上の爆発音も、掛け声も、遠くなる。


ていうか、地下もあんのかよ。

広過ぎだろ。

階段を降りてすぐの扉の前でヒゲニーが止まる。

ノック。

軍隊らしい挨拶。

中は静かだった。

机。

照明。

椅子。

五十代くらいの医者。

何度も血を抜いたから顔は覚えている。

注射のおっさん。

位の高そうな軍人が二人。

そして、

ディル・レミントン。


「ディル!」

思わず声が出る。

ディルは人差し指を立てる。


俺は椅子に座らされる。

真正面に、注射のおっさん。


「ラグ・グニル君。率直に問おう」


低く、落ち着いた声。


「オニの自覚はあるか?」


……オニ?



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