【外伝】魔女エルサ・フェルム②
第二話
「帰ってきたら、将来の話をしよう」
ジンはそう言って帰ってこなかった。
出世すると思ってたんだけどなー。
もったいない。
魔女殺しとかいう魔女が現れて半年。
私ら新任魔女は前線から下げられ、以前よりはゆっくりさせてもらってる。
前線も元に戻ったし、ナギも無駄死にじゃん。
そうナギと、あのリブルムンドの女。
思い出す度にいらいらする。
忘れたいから男に抱かれるけど、なんでかな。
やっぱり思い出してしまう。
あーいらいらする。
アンもジーナも、ナギはあーだったこーだった。
だったら軍抜けちゃえよ。
めんどくさい。
何食べても、何飲んでも味がしなくなった。
ナギとあの女が頭にいるせいだ。
決めた。
もう辞めよう。
魔女として出世したってどうせ楽出来ないって分かったし。
魔法陣使えないように刻印掘られたって結婚くらい出来るでしょ。
ーーー
通達
エルサ・フェルム魔術兵
貴殿をアレキサンダラス派遣部隊に任命する
作戦会議に参加されたし
以下日時
ーーー
「これってさ、魔女殺しのことだよね。そいつがアレキサンダラスに攻めてくるからってなんでブルーシアの私たちが行かなきゃなんないの?」
「売られてんだよ。私たち。あーもうこれ終わったら辞めるようかな私」
「ねぇエルサ、さすがにダルすぎない?」
アンとジーナと初めて意見があった気がした。
「うん。私もそう思ってたとこ」
「でも魔女の退任ってめんどくさいらしいよー」
「魔法陣使えなくなるように、なんか身体に彫られるんだっけ?ほんと最悪」
あ、そうだ。
どうせこの国離れるんだ。
「ねえ、アレキサンダラスでバックれない?」
「エルサ言うねー」
「でもアレキサンダラス厳しいらしいよ。国民きっちりID管理されてるって。捕虜にでもなるー?」
「リブルムンドでいいじゃん。都市部以外は無法地帯らしいよ」
「エルサいいのー?そんな田舎暮らしで。でもそれでこの状況抜けられるならアリかもなあ」
戦争が落ち着けば、IDなんかどうにでもしてみせる。
もう嫌だ。
こんなところ。
でも、リブルムンドにはあの女がいる。
まぁ、もう死んでるか。
次の作戦でもう抜けよう。
アンとジーナ使ってでも。




