【外伝】魔女エルサ・フェルム
第一話
「あ"あ"あ"あ"ああ!!!!!」
あーあ。
アースラ先生死んじゃったよ。
あんなに強い魔女でも首刎ねられたらやっぱり終わりか。
ていうか何あの女。
戦場で喚き散らしちゃって。
みっともな。
きもいよ。
ーーー
研究生の頃から、ただつまらなかった。
みんな必死に魔法陣覚えて、同時成立がどうとか、共通項がどうとか。
そんなの見ればわかるじゃん。
魔法陣も一度なぞれば覚えれるじゃん。
そんなことも出来ない凡人だらけの魔女。
せっかく魔力に選ばれてるのに才能が無いなんて、ご苦労なことだよ。
必死に覚えて訓練して。
訳わかんない戦争に行かされて、死ぬ。
バカじゃないの。
ほんときもい。
適当に男作ってちやほやされて、気持ち良いことする。
それが若い女の特権でしょ。
こんな砂だらけの戦線で、化粧もろくに出来なくて。
魔法陣、魔法陣、魔法陣。
展開して成立させて、撃って撃って撃ちまくる。
で、死ぬ。
なんなの。
まじで。
火薬に、油に、汗臭い移送車。
シートは硬いし、ガタガタよく揺れる。
座ってるのは、目がキマっちゃてる兵士共。
ぐずぐず泣く魔女。
才能ないなら魔女なんか目指さなきゃいいのに。
あー私ももっと認められれば楽できると思ってたのになー。
アースラ先生ですら前線だもん。
まじ終わってる。
ーーー
六週間ぶっ通しの前線が終わった。
やっと休める。
一週間前からリブルムンドが変な魔女投入してるらしいし。
もう負けでいいからいい加減終わってくないかな。
爆炎だってやられてるんでしょ。
もう無理じゃん。
「あれ?ナギじゃん」
移送車から降りると根暗のナギ。
なんで声かけちゃったんだろ。
「エルサ、出てたんだ。久しぶりだね」
「なんかやつれたねー。ナギ」
…見窄らしい。
人のこと言えないか。
「エルサ、今まで戦線にいたの…?」
「そうだよ。ほんとたまんないよ。毎日毎日砂まみれ」
「無事で、よかった」
「ああ、なんかいっぱい死んでるしね。やばいの出たんでしょ」
ーーっ!!
殴られた。
話しかけるんじゃなかったわ。
めんどくさ。
才能ないくせに何一生懸命になってんだよ。
きもい。
頬にあたるシャワーが妙に滲みる。
あの泣き喚いてた魔女とナギが何故か被る。
あーもう考えたくない。
めんどくさい。
ほんときもいよ。
お前ら。
吐きそうなくらい。




