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第七章 I will know that you are no dreamer⑥【終】

第六話 「おかえり」


ーーー


これはゆめなのかな。


わたしはなにをしてるんだろう。


『そう』


『ゆめだよ』

『ぜんぶゆめ』


あのひとも?


『そう、ぜんぶゆめ』


わたしは?


『あなた?』

『あなたはだれ?』


わたし?


わたしは


あなたーーー



ーーー



ーーー



「レミントン大佐!配置完了しました!」

「ありがとう、カロン少尉。私はフェイ少佐の所に行くよ」

「はっ!自分が押してもよろしいでしょうか!」

「ああ。頼む」


ジョージ・カロンは車椅子のハンドルを押し、サイラス・フェイのいる場所に向かう。


「ジョージ、ディル」

「やあ、サイラス。どうだい?準備は」

「ああ。あと十五分だ」


「あれから二十年。この場所とは皮肉だね」

「皮肉か。今ここにいることさえ、決まっていたんじゃないかって、そう思うよ」


「しくじるなよ」

ディルの声が低くなる。


「無論だ。救ってやれるのは俺たちしかいない」

「ああ。そう思って今日まで生きてきたんだ。救われてもらわないと困る」


ミドガルに吹く風には、冬の気配が混じっていた。


「そろそろだ。ジョージ、ディルを連れて離れていろ」

「ここにいるよ。カロン少尉、離れて」

「自分も、見届けます」

まったくっと洩らし、サイラスは剣を抜く。


時計台が九時を示す。

割れた鐘音が正しく轟く。


「魔導兵!開始!」

ジョージが無線で指示を出す。

時計台前広場を囲っている三百二十五名の魔女が一斉に立ち上がり、周囲に魔力を放出する。


「バーサーカー強制召喚!装置作動!」

再度無線に叫ぶ。


広場の四隅に据えられた装置が、一ヶ所に向けて光線を放つ。


「磁場異常確認!来ます!」

ジョージの無線が鳴る。


サイラスが構えを取る。

車椅子の肘掛けをディルはぎゅうっと握る。

光線が交差する一点の空間が歪む。


煙を纏いながら、赤いバーサーカーが現れた。


「発現確認!魔導兵!」

魔女達が一点に手を向け、バーサーカーは光の帯で拘束される。


「ーーー!!!」

唸り声を上げ、激しくもがく。


ふぅーっとサイラスが深く吐く。


「もう、休め」


刀身を遥かに覆う、妖艶な魔力の刃が、音も無くバーサーカーを唐竹に斬る。

その場の全てが息をのむ。


紅く、黒く、歪で、原型を失った鎧が割れる。


兜が二つに分かれる。


ラグ・グニル。


あの時のままのラグ。


ガランと兜が音を立てる。


鎧の胸が大きく分かれる。


切れたドッグタグの鎖から、ガラスの小物が宙を舞う。


小物が落ちる。


鎧に触れ、割れる。鎧が、淡く光り。


光りは強く大きくなり。


やがてひとつに集まり。


人の形を形成した。


サイラスもディルもジョージも、その場の全ての人が、目の前の奇跡を見守っていた。


「まさか」


サイラスが洩らす。


光りはミレイ・ブラウとなる。


ラグの拘束をミレイの手が優しく払う。


互いの手が触れ合い。


しぼむように膝をつき。


倒れた。


ーーー目を細めるラグを見つめ。


ーーーミレイの口が僅かに動く。



「「ラグ!ミレイ!」」


サイラスとディルが同時に叫び、サイラスが先に駆け寄る。


繋がれた手の手首を順に抑える。


追いついたディルに、首を横に振る。



「おかえり」



ガラスの割れない戦い方(終)

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