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第七章 I will know that you are no dreamer②

第二話 男の子

「魔導隊本体所属ミレイ・ブラウです!避難状況は!?」

慌ただしい教官室で叫ぶ。

「あなた軍人さんだったのね。幸いほとんどの生徒は帰っていたから。今先生たちが教室見回ってるとこよ」

先ほどの女性職員が不安を隠さず答える。

「分かりました。あなた達も早くここを離れて!」

「ありがとう、ありがとうございます。応援は来るんでしょ?あなたも無事でね」

「はい!ここはわたしの実家です!何をしても守ります!」


ーーー

数台の学校のバスに人が吸い込まれるように次々乗り込む。

「ジョージ!」

ラグがジョージを見つけた。


「ごめんな、ジョージ。俺たち残るから」

ジョージの手を握りしめる。

「うん。ラグ頑張って」

「お前もな。男の子だろ?」

ジョージの表情が明るくなる。

ラグはくっしゃっと頭を撫で、バスに乗せる。

運転手と敬礼を交わし、バスを見送った。


ーーー

「ミレイ!」

教官室の前で合流する。

「もう避難終わるって」

「そっか。バスもどんどん出てるよ。ジョージも乗せた」

「よかった。ありがとう、ラグ君」


段々と静かになり、警報から三十分。

静寂が学校を包む。

二人は外に出て空を見上げた。

「さっき一時間って言ったけど、もう少し早いと思う。冷静じゃなかった」

眉をひそめる。

「もう避難は完了したし、結果オーライだよ。対魔軍もそろそろ着くだろ」

「ううん。遅いくらい。もうとっくに着いてもいいはずだよ。たぶん何かあった」

だんだん声が低くなる。

「じゃあ仕方ないなー。最強二人が迎え撃つかー」


ラグの顔を一瞬見ると、ミレイは「見えない袋」に両手を入れた。

「っしょっと」

ずるりと引っ張り出されたのは白銀の鎧一式。


「えええぇ!ミレイやりすぎだろ!」

「いいの!これで頭突きでも蹴りでも戦い放題だよ!ほら着て!」


ーーー

あの時の言葉をラグは思い出す。

全身を白銀で覆われたラグは照れ臭く目を逸らす。

「やったー!!かっこいい!!立派な騎士様だね!」

「まあ、やることは走って殴るだけなんだけどな…」


一頻り喜ぶとミレイは目線を外す。


「ラグ君。聞いて」

ミレイの方を向く。


「今日、魔女城に行こうと思ってる」

「え、」

「……ついてきてくれる?」

「当たり前じゃん。今言ったばかりだろ。俺はミレイの騎士だぞ」

振り向いたミレイの笑顔はどこか無理があった。


「でもどうやって行くの?俺も浮けるのか?」

すうっと息を吸い込む。

「うん。浮かせる。この学校ごと!」


「お、おう。え、学校?ごと?俺ここにいていいのか?」

「うん。もう来るし。行くよ」

ミレイの全身が淡く発光する。


「壊させない。この場所は絶対。もう決着つけよう!天災の魔女!」


地響きと共に「学校」が激しく揺れる。

あちこちでガラスの割れる音が続く。


「おおおおおお」

ラグの動揺を余所に、目の前の大地が割れる。

視界から地面が失われていく頃、「学校」全体は敷地地面ごと浮き上がっていた。


「おいおいおい、ミレイ!大丈夫かこれ!」

「たぶん!」

ニヤリと笑うミレイの顔は少し紅潮しているようだった。



ーーとぷん。


「学校」に影が落とされる。

上空に魔女城が現れた。


「来たな」

睨みつけるミレイは「学校」の上昇を斜めにズラす。


「学校」は傾き始めるとガシャンガシャンとあちこちで音が鳴る。

ラグの目前を魔獣が落ちて行く。


「おおおお!ミレイ!落ちるって!」


「うるさい!!」


二つの巨大浮遊物は接近していた。

魔女城の高度に達すると「学校」は平行を取り戻すため再び傾き出す。


「ミレイ?ミレイミレイ!!当たるぞーーー!!」


ラグが叫ぶと「地面」が魔女城に架かり、


世界から音が消えた。


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