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第七章 I will know that you are no dreamer

第一話 「いってらっしゃい」

「じゃあな、サイラス!楽しみにしてろよ」


「ああ、頼んだ。いってらっしゃい」


アレキサンダラス国境魔女城戦から半年後。

ラグとミレイは長期休暇に入るジョージを迎えに「学校」へと向かっていた。

学校は軍本部から西へ二十キロに位置する。


「ラグ君、運転上達したねー」

「だろ?寝てていいぜ」

「寝ないよ!こうやってゆっくりお話しするの半年ぶりだよ?」

「あー、ほんとよく働くよなー俺たち」

「そうじゃなくて!」


「…ん?そう言えば、城の瓦礫、何か分かったの?」

「あーうん。出てきた植物からリブルムンドの土地なのは間違いないんだけど」

「えええ、まじかよ。でもあんなでっかい穴空いてたら目立ちそうなのにな」

「ほんと困っちゃうよ。あとこれ機密情報ね!ていうかなんでサイラス来なかったの?息子のお迎えなのに」

「授業と被っちゃってるんだって。なんかサイラス、ディル並みに真面目になってるよな」

「サイラスはもともと真面目だよ」

クスクスとミレイが笑う。


「道あってるよな…?」

「合ってる合ってる。そっか、ラグ君は入学手続き以来だもんね」

「ミレイは実家みたいな感じ?」

「そうだねー。そう言えばラグ君のご実家にもそろそろ行かないとだよね?」

「まあタイミングだよ。じいちゃんには会いたいけど」


ーーー

車が学校に着く。


「やっぱ城っぽいよなー」

「むかーし、リブルムンドの王族が建てた豪邸なんだよー」

「ごーてーすぎる…」


ーーー


「こんにちわ、生徒のお名前は?」

教官室の受付で割腹のいい女性職員が対応する。


「ジョージ・カロンです」

ミレイが書類を書いている間、ラグは「豪邸」の中を眺めていた。


「カロン夫妻、ここのC室でお待ちください」

女性職員は窓口横の壁にある施設地図を指差す。


「ラ、ラグ君…聞いた?」

「ああCの部屋だろ?真っ直ぐ行って右だ!」

「あ…はい。そうですね」

廊下を歩きながらミレイは肩を落とす。


部屋にはすでにジョージが来ていた。

「おー!ジョージ!元気そうだな!」

「なんだラグとミレイかよ」

ジョージはチッと不貞腐れる。

「なんだとはなにかなーこの子は!」

「バカップル!!」

イーっとジョージは歯を見せる。


「おうおう、うちの子になるかい?ジョージ君?」

「ちょ…ちょっと、ラグ君ラグ君!何言ってるの!」

ラグの意地悪にミレイが慌てて顔を赤らめる。


「だからバカップルって言ってるんだよ」

「…それにソルフィアさんがいるし」

ジョージの一言に二人が目を丸くする。


「お、おおおい。ジョージ。なんだその機密情報は」

「そうだよ!きみつじょーほー!内緒なんだ!」

「だめだ!話せ!」

ラグとジョージのじゃれ合いを見ていた、

ミレイの顔色が変わる。


「なんで」


「…うそ」


小さく洩らすと部屋から飛び出して行く。

「ジョージ!ここにいろ!」

ラグは追いかける。

残されたジョージから笑顔が消えた。


車の扉を弾くように開き、備え付けられた通信装置を慌てて操作する。

ラグが追いつく。


「ミレイ・ブラウです!反応出てますか!?」

『ちょうど今捉えた!近いな…詳細分かるか?』


言葉に詰まるミレイを、助手席側から覗く。

「…ここです。一時間後。リブルムンド軍管轄養成所。この上空です」

無線からは沈黙が届く。


『…了解。直ちに避難させ、隊を送る。君たちも協力するように』

無線が切れる。

震える手で無線機を握りしめたまま、ミレイは俯いていた。


「ミレイ…」

『ビー!ビー!ビー!』

ラグの言葉を機械音がかき消す。


『緊急警報!緊急警報!生徒は先生の指示に従うように!繰り返す…』


「どうして…こんな…なんで」

警報が鳴り止み、蚊のようなミレイの言葉に気付く。


「大丈夫だ!ミレイ!最強の魔女と最強のオニがいるんだぜ!」

顔を上げるとニカっとラグが笑う。


ぐっと噛み締めたミレイの目つきが変わる。

「うん。そうだね!とにかく避難させよう!」


二人は校舎に戻っていく。


「学校」上空の空間が歪み始めていた。


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