第五章 I've witnessed your suffering⑦
第七話 事実上
ディル・レミントンは軍本部へ送還された。
ジン・ペリオン総司令の命により、E・F・G地点間の索敵が実施された。
結果、戦線は目標地点まで押し戻された。
ディル班の任務は、事実上、完遂された。
ーー作戦完遂から一ヶ月後。
ミレイ・ブラウは帰還後、魔導隊本体へ編入された。
「撃鉄の魔女」という性質上、魔導兵――すなわち魔女同士の連携が最も効果的であると判断されたためだ。
二度目の魔女城遭遇時、彼女は「狭間」で魔女城とのリンクを経験していた。
その感覚を言語化し、理論として組み立てる作業は困難を極めたが、やがて彼女は魔女城出現地点の予測技術の研究に着手する。
その理論は、敵軍魔女の索敵にも応用可能と期待されている。
ラグ・グニルとサイラス・フェイも、それぞれ別部隊へと編入された。
個々の戦力が高く評価され、既存班の戦力補強および調整要員として配置される。
ラグ・グニルの戦闘記録を基に、「オニ」養成マニュアルの作成が決定。これをカイル・ソウ少尉が担当する。
サイラス・フェイは、近接武器と銃器を併用する戦闘術の特別教官に任命された。
ディル・レミントンは中尉へ昇進。
両足を失ったものの、その功績は大きい。
国境戦線維持に関する作戦会議室へ常駐することとなった。
ーー作戦完遂より7ヶ月後。
ミレイ・ブラウ所属の特別魔導編隊を中心に行われた作戦で、アレキサンダラス国境戦線が崩壊。
和平条約締結によりひとつの終戦を迎えた。
ーー作戦完遂より八ヶ月後。
軍本部。
大食堂にて。
「ラグくーん!」
窓際のテーブルでミレイ・ブラウが立ち上がり手を大きく振る。
ラグ・グニルはトレーが歪むほど山盛りにし、席に着く。
「ラグの代謝は上がる一方だな」
ディル・レミントンが笑う。
「ほんと。ラグ君いい加減太るよ?」
「え、そうなの?」
「太ってあの速度で突撃出来るなら立派な砲弾だよ」
サイラス・フェイの一言で四人は示し合わせたように笑った。
「戦争一個終わってちょっとは手が空くんじゃないの?レミントン少尉?」
ラグが意地悪そうに尋ねる。
「中尉だ。お前、戦後処理がどれだけあるか座学で習ってないのか?」
ディルが呆れ顔で答える。
「今や伝説のディル班じゃん?俺たち」
「そーそー!みんなで遠出できないかなって!ずっと働いてるよ?わたしたち」
「んーーーまぁ、上に聞いてみるよ」
「あら、意外と乗り気だった」
サイラスの後に笑いが続く。
若く、前向きで、有能な兵士たちの姿がそこにあった。
憎悪の滲む門は彼らをただ待ち続ける。
第五章 完




