表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/39

第五章 I've witnessed your suffering⑥

第六話 引き金

「魔女城です。魔獣多数発生」


ディルは拠点にそう伝え、目の前の森が、押し潰されるように倒れていくのを見ていた。

「ディル!無線」


車から降りてきたミレイがディルに無線機を渡す。


あぁ、と力の無い返事をし耳にそれを取り付けた。

ミレイの手には銃が握られていた。


「サイラス!来たぞ!」

移送車の後ろ、街道上で警戒を続けてたラグが叫んだ。


アスファルトに上がった魔獣の頭部をサイラスが斬り離す。

その断末魔に引き寄せられるように次々と魔獣が姿を現す。


「クソ!」

歯を食いしばりながらディルは魔獣に引き金を引く。

合わせるようにミレイも撃つ。


ラグの回路が開いていく。

オニの力が、火が全身を巡り、魔獣の頭部を一撃で砕く。

その鈍い破裂音が響き渡る頃、魔獣の動きが一斉に変わる。


魔獣は、ラグを目指した。


瞬く間に魔獣に囲まれたラグだが、上等だと言わんばかりの表情を見せる。

サイラスはラグに近づく魔獣を斬り続ける。


ディルの思考も精神も、消耗を尽くしていた。

魔獣の背後からがむしゃらに撃ち続ける。


「ラグ君!!」

不安に染まった声をミレイが上げる。


ミレイの胸元が光り、微かに暗闇を照らす。

ディルは状況を把握しつつも魔獣を撃ち続けた。

白銀の筒は、ラグに迫り続ける魔獣の群れへと向けられる。


一発目。

街道と森の境目で、爆音と共に魔獣の肉片が舞い上がる。

森だった場所から続々と魔獣が現れる。


二発目。


三発目。


続く。


まだ続く。


七発目。


八発目。


ディルはハッとしてミレイに視線を向ける。


「今、何発撃った?」

不安がディルに滲む。


十一発目。


十二発目。


ミレイの身体は移送車の上空にまで上がっていた。

そしてそれ以上は撃たず、糸で吊られたように動かなくなった。


ディルは一瞬ミレイの状態を確認し、歯を食いしばり引き金を引き続ける。


魔獣の終わりが見えてきた頃、月の光りが辺りを照らす。

戦い続けるラグとサイラスの姿が目に映る。


「…もう少しで!」

最後の魔獣をディルが背後から撃ち抜き、魔獣の倒れた先でラグがディルの方を見ていた。


ぐっと親指を立てて拳を突き出す。

ディルは銃を下ろし、ミレイの方を見上げた。


ミレイは移送車の上で座りこんでいた。


「ミレイ」


ディルが声をかけ、顔を向ける。


目と、鼻と、口から、血が流れていた。


ミレイが目を見開き


「だめ」


力無く言う。


ディルは森だった方を振り向く。


魔法陣があった。


衝撃は身体を移送車に叩きつける。


掠れた視界の先に魔女の姿がまだ見える。


ディルは震える銃口を向け、ダダダっと引き金を引く。


魔女がその場で崩れ落ちたのを見届けると、


視線が落ちる。


膝から下が、なかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ