表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/39

第五章 I've witnessed your suffering⑤

第五話 ストレス

ーー「ならん。明日二十発撃てるなら別だ」


拠点でディルはジンに、定期通信で一日の休息を申し出た。

ミレイの負傷は幸いにも額を掠めただけだった。


「そろそろ行くぞ。夜になるまえに次の町までもう少し近づきたい」

ディルはそう言いながら補給物資の受け取りにサインをする。


「次だれだっけー?」

頭に包帯を巻いたミレイは明らかに気丈に振る舞っていた。


「俺だよ。ディル、夜営地点変わってないよな?」

サイラスは運転席に乗り込む。

ラグは後部座席ですでに眠りこけている。


ーーー


「ミレイ、大丈夫か」ディルは堪らず口にした。


ーー「大丈夫か」

この作戦が始まって以降、この言葉を誰も使わなかった。


「あーとうとう言っちゃったよ。お互い様でしょ」

ディルの表情は暗い。


ーーー


夜営地点に着くと、サイラスはすっかり慣れた手つきでレーダーを起動させる。

ピコン…ピコン…

規則的に鳴り続けるこの電子音もディルの耳に障る。


ーー

翌朝。

陽が昇り始めた頃、

何かが焼ける匂いが車内に届く。


ラグが外に出て肉を焼いていた。


「おはよう。ラグ。お前、なにやってんだよ」

ディルはまだ目の開かない顔で困った表情を見せた。


「おはよう、ディル!いやさ、ゆっくり飯食えるの朝しかなくね?って思って!」

そう言って網の肉を引っくり返す。


「おはよーおいしそーなのがあるー」

とミレイとサイラスも起きてきた。


朝日に照らされ、四人で朝食を摂る。


会話が弾むわけではないが、穏やかな時間があった。


ーーー


目的の町に着く。


が、探せどブルーシア兵の姿はなかった。

結局その日は敵兵を見ることもなく、E地点にまでたどり着いてしまった。


ーー「ふむ。先の戦闘が効いた可能性もある。E、F、G間の拠点には索敵させておく。作戦に変更はない」

ジンとの通信を終え、ディルはふぅーっとため息をついた。


「よし、出発だ」

ディルは運転席に乗り込む。


空はもう夜を迎え始めていた。


「ディル、ヌードル貰ってきたぜ」ラグが嬉しそうに顔をだす。

「明日もやる気かよ。起きれんのか?」

「任せとけよ!リーダー!」


ーーー


拠点を出て街道に乗る。

街道を囲う背の高い木々は闇に包まれていた。


ディルの目端が違和感を覚えた。

キィ


急停車。


ディルはフィールドスコープを覗く。

いる。


「敵兵発見。夜襲か偵察か。ミレイは車内って応援の要請を」

そう言い残し出来るだけ静かに外に出る。


ラグとサイラスはすでに街道上で獣のように気配を探る。

ライフルのスコープを取り替える。


静寂。

風に揺られ木々が鳴く。


「増えてる…」

ラグがそう呟く。

ディルはスコープを泳がせる。


「ディル!」

車内からミレイの声がする。

しまった。無線を外したままだった。

ディルに苛立ちが戻る。


「どうした」

助手席のドアを少し開け、ディルは警戒を続ける。


「空気がおかしいの!ミドガルの時と同じ!」

ディルの背筋が凍る。


上空へ視線を移す。


星は無かった。月も無い。


夜より暗い闇が、天空を覆っていた。


「ラグ、サイラス。空、…魔女城だ」


…!!


暗闇から届く鈍い落下音が重なり響く。


それが落石でないことは知っている。


地が揺れる。


獣が次々に落ちてくる。


「ーーー!!」


木の闇の向こうで、人の悲鳴が聞こえた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ