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第五章 I've witnessed your suffering④

第四話 轟音のする部屋

「ディル、サイラス、ラグ君!守って!」

ミレイは発動の前に必ず三人に声をかけていた。

自分自身にも言い聞かせているかのように。


ーー「黒板消し」作戦開始から十日目。

ディル班はD地点へ向かっていた。


支給された小型移送車は、今日に限って最も荒い運転手の手にあった。

ひどく揺れる車内。

三人の疲労はそんなことはもう意に介さない。

ラグは敵兵を見つけたら止まれ、と指示を受けていたが、ナビに従い、前だけを見ている。


ミレイは気力の限り狭間に入り、戻っては眠りにつく、を繰り返していた。

現在の一日の最大発射数は八発。ひとり、弾丸の補充に追われている。


ーー!!


突如、爆音とともに移送車に大きな衝撃。

転倒しかけたがラグの強引なハンドル捌きで持ち堪える。


虚を突かれたディルとサイラスが慌てて窓を覗く。

敵軍の「帯」が遠くに見える。


「クソ!」

ディルが運転席へ向かう。


「ラグ!出せ!あれは多すぎる!」

ラグは急いでギアを入れ直す。


ーー!!!


繰り返された衝撃でギアを握る手が離れる。


真横から直撃を受け、車両はゴロンと倒れてしまう。


「ディル!やるしかないよ!」

ミレイが身を乗り出してディルに催促する。


「こんな開けた場所で!クソ!狙われた!」

ディルが苛立っていた。


移送車を囲もうと敵軍は両端から進行を開始していた。

すでに帯と移送車の距離は百メートルを切っている。


倒れた移送車を盾に三メートルほど離れて四人は身を低くする。

ディルの思考は、どこを崩すべきか、ではなく。

どうミレイを使うか、だった。


(この規模だ。魔女が三体はいると思っていい。

でも瞬時に場所を特定できるか!?陽動か…)


ミレイはディルの言葉を待っていた。


「とりあえず俺、左から崩すよ」

ラグがケロっとディルに言う。


「俺は、残っとくか。ラグの状況次第」

サイラスの言葉にラグが頷く。


ディルの眉間の皺が深くなる。


「ディル、ミレイ。大丈夫だ」


「ラグ君…」

ラグはニカっと笑い、走りだした。


銃声が始まる。同時に悲鳴も。


サイラスは移送車に近づき状況を確認する。


ラグはすでに全体の五分の一を倒していた。


もう姿は見えない。


敵兵士が血と共に吹き飛ばされる場所が、ラグの位置。


敵軍はそれでも陣形は崩さない。


サイラスは魔女らしき兵士を探していた。


「サイラス。今どのくらいだ」

ディルが低い声で尋ねる。


「五分の二ってとこだ。もう中央に届く。後続はない。薄いぞ」

「聞け。サイラス、ミレイ。サイラスは右端から中央に向かってくれ。ミレイは中央に向かって撃て。三発だ。それで一旦退け。援護は任せろ。何があっても守る」


ディルの命令を受けサイラスが飛び出す。

ミレイは深呼吸をして集中に入る。


それを見届けるとディルは倒れた移送車から銃身を覗かせ、引き金を引き続けた。

ディルの背後でミレイの身体が浮く。


轟音を立て一発目が着弾。

ディルのスコープが泳ぐ。


中央からやや右手に魔法陣を捉え、すぐさま引き金を引く。

魔女の腹部に命中し魔女は大きく体勢を崩す。


もう一度引き金を引く。

と、同時にスコープの中が黒煙で埋る。


ミレイの二発目。

残るは散り散りの敵兵と右側。

銃口を向けるより早くミレイの三発目が着弾する。


「ここまで崩せば!」

ディルは意識の薄いミレイを避難させるため振り向いた。


ミレイの身体が大きく仰反る。


頭部から血が疾る。


三発目の余韻は、まだ空気を震わせていた。



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