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第五章 I've witnessed your suffering③

第三話 「黒板消し」

「日に何発まで撃てる?」


翌朝、拠点会議室。

ディル・レミントンとミレイ・ブラウは、ブルーシア国境戦線総司令ジン・ペリオンの前にいた。


「申し訳ございません。未熟ゆえ体得中につき、発射限度は確認できておりません」

ミレイは真っ直ぐ視線を固定しハッキリと答える。


「現在二発までは確認できております」

ディルが付け加える。


「ふむ。魔導兵の能力には抑揚が大きくてな。扱いずらいのは承知しているが…」

ジン・ペリオンはガハハと笑い、煙草に火を着け、ふぅっと吐く。

「見過ごすには強すぎる力だ」

ギロリとミレイを睨みつける。


「ディル・レミントン。君の班にはオニもいるそうだな」

「はっ!ラグ・グニルと申します」

ジジジと煙草を強く吸いあげ、ふぅーっと大きく吐く。


「ディル班。本日正午までにA地点に移動せよ」

「「はっ!」」

「到着次第作戦を開始する」

そう言ってジンは黒板の国境図に黒板消しを当てる。


「A地点からG地点までだ。一日の行動限界まで撃ち続けろ」

シューっと戦線のラインが消されていく。


「ディル班をもって戦線を押し戻す!」

黒板に新しく線が引かれる。


ーー以前の戦線は山脈に沿っており、限りなく冷戦状態に近い状況であった。

しかし現在、戦線は崩壊しており、両軍に言えることだが、非常に消耗の激しい状況が続いていた。

無論、ディルもミレイも頭では理解している。


「何か質問は」

ジンはディルを睨みつける。


「いえ…ありません」

「話は以上だ。すぐに移動したまえ」


ーーー


会議室を出る。


「わたしたち黒板消しだって」

ミレイがケロっと笑った。


ディルは愛想笑いも忘れて、振り返るミレイを見送っていた。


移送車で移動中、ディルは三人に「すまない」と

ポツリと漏らした。


「期限無いんだろ?一日三発とかまでにして、ちょこちょこやろうぜ」

「ラグ。無茶言うな。そんな甘くねえよ。ただ限界まで打ち続けないってのは賛成だ。ミレイそれは分かってるよな」

サイラスはミレイに視線を送る。


「うん。そもそもこの力のこと、まだ話してなかったよね。ディル、困っちゃったよね。ごめんね」

ディルは顔を上げる。


「いやそれは把握してなかった俺の責任だ」

「なんて言うかな。わたしの中に倉庫があってね、そこで銃も弾も作ってるの」

ミレイはディルを遮って話し始める。


「でも倉庫から取り出すためには、ぐーって集中しなくちゃいけなくて、それで時間がかかってるんだよ。みんなにはその時間だけ守っていてほしい」

ラグは真剣な表情でミレイの言葉を拾う。


「あと銃身出している時は、倉庫の世界と私の狭間みたいなところに意識があるのね。だから無線とか声も聞こえない。でもその狭間は時間がゆっくり流れてて、それで一生懸命照準合わせたりしてるんだけど…」

三人は口を挟むことなく聞いていた。


「っとー、こんな感じかな?銃弾は百発くらいはあるんだけど、一日何発撃てるかは、やっぱりやってみないと分かんないや。もしかしたら慣れてどんどん撃てるようになるかもだし」

えへへとミレイは笑う。


(銃を作る?魔力で?)


三人は同じ疑問に思考が止まっていた。


「あ、あとね。ちょっと待ってね」

ミレイは右手を伸ばした。


指先が淡く光り消えていく。

まるで「見えない袋」に手を入れているようだった。


「あ、あった」

ミレイが「見えない袋」から手を引き抜くと、魔力銃が持たれていた。


「こんな感じで、道具も入れておけるから、なにかあったらわたしが持っておくよ。取り出すのモタモタしちゃうけど」


揺れる移送車の中、三人は完全に言葉を失っていた。



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