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第四章 Witches gather and dance⑤

第五話 功労章

「あーーーー疲れた!」


あの後麓を抜けたところで、わたしたちは通りかかった移送車に拾ってもらい、本部へ戻ってきた。


班を離れての独断行動。

ラグ君という貴重な「オニ兵士」の救出が目的だったため、事細かな報告書の提出で、わたしは懲罰を逃れた。

ネシカさんのことは「森の魔女から治療を受けた」ってちょっと嘘書いちゃった。

ディル、サイラスは重傷を負い治療を受けている。

ラグ君はまた検査だらけだろう。


でも、みんな生き残った。


国境戦線は全体的に大きく後退。

それでもブルーシア軍が魔女を大量投入したことからかなりの情報を得られたらしい。

ディル班はあの魔法陣を同時に使う魔女を討伐したことで功労賞が待っている。


正直、わたしは少し休みたい。

戦線が下がったことでソルフィアとエルダも一旦戻ってくるみたいだし。


「いつまで続くんだろう…」


ーーー目を閉じる。


意識を持ち上げ狭間に行く。


わたしはここでの作業を可能な限り進める。

この空間にいる間、現世の時は止まっている。

でもわたしの意識は進んでいる。

そして無限にはいられない。

少しでも集中が途切れると現世に引き戻されてしまう。

そしてどっと疲れる。


報告書を書いていく中で、どう考えても一日ずれていた。

ネシカさんの家を四日目に出たけど三日目じゃないと、どうしても日程が合わない。

あの場所は少しズラしているって言ってたけど、世界をズラすってそういうことなんだろう。


なんとなく、分かる。

この力にはきっと、代償が待っている。

どんなものかは分からないけど、だからネシカさんは覚悟を聞いたんだ。


大丈夫。

わたしは、やる。


ーーー


帰還から五日後、わたしたちディル班は功労賞を受けた。

ラグ君もすっかり元に戻っていた。


「ディル、これから俺たちどうするんだ?魔獣?戦線?」

大食堂でラグ君が山盛りのトレーをつつきながら聞く。


「指示待ちだ。とりあえず万全に戻そう」

「そうだな。報告書が多過ぎて上も大変だろうに」


「ミレイはずっと眠そうだな!」

「ラグ君…君には言われたくないよ?」

「その節は大変お世話になりました」

珍しくサイラスが笑う。


「森の魔女に会ったんだって?」

ディルがとうとう聞いてきた。


「うん。綺麗な人だったよ。結界張ってるから普段は見つからないみたい」

「実在したんだな、いい魔女でよかった。ラグも治してもらったんだろ?」

「あーうん。でもずっと夢見てたみたいでさ。色々曖昧なんだよね」

左胸の功労章を指でいじりながらラグ君は答えた。


ディルの視線に気付く。

目が合うとディルは視線を逸らした。

言ってないことがあること、気付いてるんだろうな。


「とにかく、だ。まずは体調を万全に。そして対魔女戦でみんな収穫があったと思う。戦線もあれだけ下がったんだ。いつ投入されても不思議じゃない。装備やフォーメーションのこともある。明日また集まって話し合おう」


ディルがリーダーっぽいことを言う。

昔からだけど、今なおさらそう感じた。


ーーー


この日から一ヶ月後、ディルの予想通りわたしたちは再びブルーシア国境戦線へと向かわされる。


そこでわたしは、「撃鉄の魔女」の異名を得る。


第四章 完

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