表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/40

第三章 The small soldiers march③

第三話 魔法

サイラスが蹴り飛ばされた音に反応するラグ。


ミレイの岩が三人目の大男を打ち据える瞬間が、同時に視界の端に映った。


二人の大男の意識を完全に絶ったラグは、すぐに女兵士へ視線を戻す。


腹の奥で火を熾す。

巡る魔力が熱を帯び、全身を焼く。


「オニもいるのかい」


視線を向けないまま放たれる言葉に、一瞬、“あの力”がよぎる。


だが。


連続する銃弾を、防ぎ続ける女兵士へ、ラグは地を蹴った。

人の反応速度を遥かに置き去りにする踏み込み。

上空の魔法陣から、雷光が疾る。

直前で跳ぶ。

目前を抉る稲妻。

ラグの鼓動が早鐘を打つ。

女兵士の口元は笑ったまま、開いた目がラグを捉える。


かざされた手。

直後、上空の魔法陣から無数の稲妻が降り注ぐ。

ラグは最高速度で軌道を変え、避け躱し、地を踏み叩く。

背後から、立て直したサイラスが迫る気配。

一瞬だけ、ラグは視線を逸らす。

ディルは撃ち続けている。ミレイは岩を高く構え、女兵士に放とうとしている、


――その足元。


魔法陣。


ディルとミレイ、二人の足元に。


ラグの踏み込みが足元を抉る。

地を裂く速度で二人へ。

ディルを弾き、飛び込み、ミレイを突き飛ばす。


地に展開した魔法陣が白く淡く発光する。


音が消える。


白い光柱が、ラグを包み込んだ。


宙に浮いたミレイの視界に、

薄いレースの向こう側、ラグの苦痛の表情が焼き付く。


ミレイの認識が追いつかぬまま、


次の瞬間――


轟音と視界を覆うほどの閃光。


魔法陣から降り注いだ落雷。



爆裂音とラグの身体が地に叩き、


血と身体が、宙に散った。



「あ"あ"あ"あ"ああ!!!!!」



ミレイの叫びが戦場を裂く。


岩が一直線に飛ぶ。

女兵士は笑っていた。

が、その首は、すでに胴から離れている。

サイラスの一閃。

それでもミレイは岩を叩きつけた。


振り返り、地に転がるラグの元へ駆け寄る。


「ラグ君……!ラグ君ラグ君!!」


上体を抱き起こす。

腕に、胴に、脚に、裂傷と火傷。


血が止まらない。


「なんで!なんでなんで!止まんない!!治らない!!ラグ君ラグ君!!」


震える手で傷口を押さえ、魔力を流し込む。


指の一本も反応せず、


魔力は、無情に弾かれる。


流れ続ける血。


戦場の音が、遠くなっていく。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ