夏空に誓う
夏空に誓う。
第一章 告白の夜
『私…もうすぐ死んじゃうの。』その言葉を口にした雫は本当に僕の前からいなくなった。20歳だった。
幼稚園の頃から一緒やった彼女。僕にさえ伝えなかったその秘密が、今となっては悔しくてたまらない。
僕の彼女、雫。幼馴染であり、初めての初恋に気付いた相手。僕は咄嗟に告白した。夜の海で。静かな雨の中、、雫はついに口を開いた。『いいよ、私、朝日と付き合っても。』その瞬間、喜びが全身を駆け巡った。
でも、同時に思った。『私、もうすぐ死ぬの。』園っ言葉を知らずに、もっと笑わせて上げられたのではないか。雫が僕の気持ちを知りながら、どれだけ孤独だったのだろうかーーー。
第二章 日常の中の二人。
僕、青柳朝日、高校二年生。内気で不安が多い僕に対し、雫は目立ちたがりの行動派。性格は真反対でも幼馴染だからこそわかり合える瞬間があった。
放課後、雫は僕の部屋にやってくる。漫画を勝手に読んだり、アイスを食べながらふざけたりする。
『ねぇ、最近学校つまんなくない?』『ないよ、期末試験の勉強あるやん。』そんな何気ない会話も、今思えばかけがえのない時間やった。
雫は軽い知的障害持ち、悩みやつらさは精神科の先生に相談していた。でも僕は、それを知ることができなかった。だからこそ、今、彼女の命の有限さを知った僕は、守ると決めた。
どんなデメリットがあっても、雫は雫であり、僕が守ると。
第三章 余命の告白
ある日、雫の母に会いに行った僕は、ようやく事実を知る。
『私、もうすぐ死ぬんだって。癌、ステージ4』それでも雫は微笑んだ。『雫、怖くないよ。一緒にいるから』
僕は彼女を抱き締め、、誓った。
『ずっとそばにおる、最期まで、一緒にいるから。』
雫は涙を浮かべながら、微笑んで答えた。
『朝日…信じていい?』 『もちろん。キミのそばにいる。』
第四章 夏休みの終わり
期末試験が終わり、夏休みが終わった。二人の関係は変わった。日常の中で雫の体調を意にしながら過ごす日日。放課後、一緒に歩。息を切らす雫に手を差し伸べる。少ない時間でも、二人の距離感は以前よりも深くなった。
空を見上げ手を握りながら言った。
『届かなくても、一緒に見上げよう。』限られた時間の中で、互いの温もりを確かめる。それだけで幸せだった。
第五章 雫の最期
秋の風が冷たくなった頃、雫の体は弱り学校にも来られなくなった。ある日の夜、ベットっで眠る雫を抱き締め、最後の言葉を交わす。
『雫…、怖くないよ、ずっとそばにいる、君をこれからもずっと愛し続けるよ。』
微笑んだまま、雫は静かに息を引き取った。部屋には静寂が広がる。でも、胸には雫との思い出が暖かく残った。
翌朝、海に立ち、二人の時間を思い返す。波音と風、夏空ーーー手は届かなくても、心はずっと一緒だと感じた。
『雫、ありがとう。君と過ごせて本当に幸せだった。』なっみだを拭い、僕は歩き出す。僕の中でずっと生き続けている事を感じながらーーー。