008
田園地帯は農夫が、忙しく働いていた。
農夫が仕事を終えるころ、僕らは一人の農夫に近づいた。
畑を耕す男に、イグアスが聞いてきた。
「ねえ、ちょっといいかしら?」
「なんだ、おめえ?」
日焼けした中年の男が、イグアスの顔を覗き込んできた。
「すいません。このあたりに、雷獣が現れたと聞いたのだけど?」
「誰だ、お前?」
「あたしは、雷鳴師イグアスよ」
「雷鳴師?おめえは、何を言っているんだ?」
農夫の男は、不思議な目を見ていた。
茶色の服を着た男は、足元が泥で汚れていた。
「雷鳴師は、雷獣を倒す存在で…」
「ん?何を言っている?
倒すのは、俺たちの最強の自警団だ。
ほら、そこにルメーノの嬢ちゃんがいるだろ」
「お久しぶりです」
「ルメーノは、魔法が使えるんだ。特別な子なんだぞ」
「いやですよ、もう」ルメーノの声が嬉しそうだ。
農夫はルメーノとは、仲がいい。
ルメーノは黒フードをつけたまま、挨拶をしていた。
「ルメーノはこの村だと、大人気だな」
「私なんて、そんな…」謙遜するルメーノ。
「じゃあ、あとは任せるね」
「はい」僕は周囲を見回した。
近くにいた田んぼの農夫は、ルメーノに話をさせていた。
その一方で僕は、あるものを見つけた。
僕と同時に、イグアスも田んぼのあぜ道で気になるもの見つけた。
「ねえ、あれって」
「ああ、間違いない。まずはあれを調べようか」
僕とイグアスが見つけたものは、一軒の物置小屋だった。
ただ、その物置小屋は廃墟のようになっていた。