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雷の鳴る帝国  作者: 葉月 優奈
一話:青雷のベルーナ
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005

黒いフードの人物は、あの場所にいた魔法使いだ。

魔法は、そもそも珍しい現象だ。だからこそ魔法使いは、この世界では貴重な存在だ。

田園地帯での戦いで、僕はこの人物を見ていた。


「ダンタリオン様、先ほどはありがとうございました」

黒いフードの女は、フードをとった。

ポニーテールの女は、かなり若かった。

元々フードを着ている魔法使いは、あまり大きくはない。


「ルメーノ、ロング団長はどうした?」

「ロング団長は、先ほどの戦いで怪我をしてしまいました」

「ロングって、あの金属鎧の人?」

口を出したのは、イグアスだ。


「はい、ロング団長をご存じで?」

「まあ、昼間一緒に戦ったから。

確かに激しい電撃に身を挺して受けていたから、しばらく動けないはず」

「なんと、そうでしたか」

村長デーレスは、再びイグアスに頭を下げた。

イグアスは、自警団の団長を助けていた話をしていた。


「それで、ルメーノ。

自警団が管理している雷獣被害の情報に、ついてだけど」

「はい、僅か2週間で15件。

今日の3件も含めると、18件になります」

「今日、僕らは4件の雷獣を討伐したのだけど」

僕が、ルメーノの言葉に反応した。

魔法使いルメーノは、報告書を見ながら首を傾げた。


「私の方では、3件と聞いているのですけど」

「ああ。あたしの奴は1つだけは、あたしが一人で倒したから」

「そうでしたか。さすがは、雷鳴師様」

「任せて」得意げに鼻を鳴らすイグアス。


「イグアスのほうはいいとして、雷獣の色を教えてほしい」

「今回の雷獣は18件、すべて青です」

「青、か」

こちらも、雷鳴師から得た情報網の情報と合致した。

レモフィラは、ベルーンの本拠地という噂だ。

その情報に、どうやら間違いはなさそうだ。

何よりも出現報告すべてが、青の雷獣。つまりは、ベルーンの可能性が高い。

今日もベルーンの呼び出した雷獣が現れたし、ベルーンはやはりこの村にいる可能性が高い。


「レモフィラには、旅人とかは?」

「田舎で魔物も少ないので、あまり人の往来はありません。

近隣には、大きな町もありますゆえ」

「逆にそういうところが、雷神にとって身を隠しやすい場所になるのよね」

イグアスの言葉に、僕もわかっていた。

雷神は、身を隠して活動をしていた。

彼らの目的は、雷獣を作り出すということ。

そのために反雷神の僕ら雷鳴師から距離をとるのは、ごく自然なことだ


「雷獣発生の分布地図は、あるのですか?」

「ええ、自警団の預かりですが。

ロング団長の指示がないと、お渡しできませんけど」

「いいから、分布地図を雷鳴師様に!」

困惑する魔法使いの女に、テレーズが語尾を強めた。

若い女の魔法使いは、困惑した顔を見せていた。


「ですが…」

「いえ、大丈夫です。とりあえず、あなたに案内できますか?」

「ちょっと、ダンタリオン」

イグアスは、不満そうな顔を見せていた。

それでも、僕はルメーノに対してはっきりと言っていた。


「明日、僕らに同行をお願いできますか?」

「あの…私なんかよりも?」

「君がいい。雷獣とも、戦いに慣れているから」

「まあ、そうよね」

不貞腐れたイグアスをよそ目に、僕はルメーノに頼んでいた。



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