004
レモフィラの村で、一番立派なレストランに僕は来ていた。
木造の建物が多い田舎村だけど、建物は豪華に飾り付けられていた。
村の大通りに面していて、テラスも見えた。
ここでは、村で名産の野菜を使った料理がいろいろ振舞われていた。
僕は、イグアスとここに招かれた。
僕も茶色のコートを着ていた。
イグアスは、水色のコートを着ていた。
このコートは、雷鳴師でもある僕らの制服だ。
奥にある立派なテーブルで、僕はイグアスの隣に座っていた。
このレストランは、もともと帝都で修業したシェフが開いた高級店。
そこに案内したのは、老人の男性。老人の男性が、テーブルの前に座っていた。
「ようこそ、わしらの村レモフィラに。
長として、すでに雷獣討伐していただきありがとうございます。雷鳴師様」
出てきたのは、長『デーレス・レモフィー』だ。
名前だけは知っている、この村の村長。
三十年ほど、この村を治めていた老人だ。
いかにも金持ち風の老人は、社交的に笑みを浮かべた。
白い眉の老人は、僕らに何度も手を差し出した。
「まあ、あたしたちの仕事としては当然よね」
差し出された手を握った、イグアス。
「僕らは、雷鳴師だからな」
「雷鳴師様、本当にありがとうございます」
再び、頭を下げたデーレス。
このレストランに招いたのも、村長であるデーレスだ。
「いえ。僕らもこんなに贅沢な料理ありがとうございます」
「まあ、なかなかよね」
「イグアス……」僕は、イグアスに注意をした。
テーブルの目の前に、もてなしの料理が並ぶ。
野菜料理も肉料理も、香ばしい香りがしていた。
「レモフィラの雷獣は、いつごろから増えたのです?」
「ここ、二週間ほどです」
「なるほど」
僕ら雷鳴師には、専用の情報網があった。
村長から聞いた情報は、情報網で得た報告とほぼ一致していた。
「青い雷が、多いのですね」
「ええ、わしらの自警団もおりますがとても歯が立たなくて。
雷獣を専門に戦う雷鳴師様は、本当にお強い。いやあ、お見事です」
デーレスが、僕ら雷鳴師を持ち上げた。
雷鳴師は、国の専門機関だ。
雷獣を倒すための組織で、僕もイグアスもここに来ていた。
「青い雷は、確か……」
「『青雷のベルーン』という雷神に、聞き覚えは?」
「さあ、わかりません」
雷の色には、何種類か存在した。
白、赤、青、様々な色が存在した。
そのすべてには妖精が存在し、雷獣にもまた雷の色があった。
僕がさっき倒した雷獣も、青い雷だ。
その雷の色は、呼び出した雷神と一致する仕組みだ。
獣に対して雷を落とす雷神には、名前があった。
「でしょうね。でも、この村にいる可能性が高いわよ」
「そうですか」
「最近の襲撃履歴は?」
「それですが、自警団の…」
「私が説明します」
僕らのテーブルに、一人の人物が近づいてきた。
それは、真っ黒いフードを着た人物が僕らのほうに近づいてきた。