003
(DANDARION‘S EYES)
レモフィラは、田舎の小さな村だ。
田畑があり、のどかな風景。
村の中央には、木造の建物が立ち並んだ。
その一つに、僕が拠点にしている宿屋があった。
二階建ての二階の一室、僕は戻ってきていた。
宿屋の部屋は、意外と狭い。
木造の壁と柱ベッドと机、大きなテーブルが見えた。
ベッドは一つで、この部屋は僕の部屋だ。
ただ格安の宿なので、贅沢は言えないのだが。
そんな僕の部屋には、すでに先客がいた。
「ダンタリオン、ご苦労様」
茶色のコートを着ていた女性が、銃を持っていた。
彼女の名は、イグアス・ダミアン。
赤いタンクトップに、同じく赤いミニスカート。派手な格好の女だ。
髪の色まで真っ赤な彼女は、腰に拳銃を持っていた。
彼女もまた僕と同じ理由で、この村『レモフィラ』に一緒に来ていた。
「イグアスも、戻っていたのか?」
「あたしなんか、雷獣を三匹も倒したのよ。
ダンタリオンのほうは、どうなの?」
「自警団が、すでに一匹倒していた。彼らに協力して、僕がもう一匹を倒してきた」
「なるほどね、田園地帯には雷神はいた?」
「残念ながら、見つからなかった」
僕ら二人は、同じ目的でここに来ていた。
それは雷獣を呼び出した雷神を、探して倒すということ。
「イグアスの雷の色は?」
「一匹だけ赤よ、ほかは青い。ダンタリオンは?」
「青だ」
「青がこの近辺は多いのね」
「というより、赤なんかいたのか?」
「多分ね、言われてみると、自信がないけど。
あたしは何せ、近づいて戦うことはないから」
彼女の腰にあるベルトには、拳銃が二丁見えた。
イグアスの武器、『カコ』と『バル』と名付けられた拳銃。
この拳銃は、特殊な拳銃で魔力を込めて放つ魔術銃だ。
「とにかく、今は雷神を探さないとな。
この村には多くの雷獣が現れていて、要請が帝国にも出ているし」
「そうね。雷獣は、絶対に倒さないといけないから」
イグアスの言葉には、強い感情が込められていた。僕もそれには同意した。
「ああ、とりあえず、食事でもとろうか」
「そうね、お腹もすいたし」
そんな中、部屋をノックする音が聞こえた。
ノックと同時に、老人の声が聞こえた。
「雷鳴師ダンタリオン様と、イグアス様はここですか?」と。