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雷の鳴る帝国  作者: 葉月 優奈
二話:記憶を失った復讐者
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021

ライザー城には、僕ら雷鳴師の宿舎があった。

城の敷地内にある二階建ての宿舎、僕はイグアスと廊下を歩いていた。


イグアスは、記憶を失っていた。

自分の部屋さえも、全く分からない。

だから、僕が一緒に彼女を案内していた。

ワイヒラウからも、頼まれていた。


(にしても女子寮は、初めて来たな)

イグアスとは、いつも寮の前で別れていた。

周りには、女性ばかり。すれ違う人に、僕は白い目で見られていた。


「この場所、覚えていない?」

「うう、あ?」

イグアスは、首を横に振っていた。

うめくような声で、どこか幼い雰囲気のイグアス。

まるで野生に返ったかのような、いつものイグアスとは違っていた。


(さらに、おかしくなっていたのか?

部屋にイグアス一人を、置いておくわけにもいかないけどどうするか?)

イグアスが雷に打たれて、彼女はおかしくなった。

記憶がないのは仕方ないけど、野性的というか、理性がないというか、とにかく心配だ。


それと、帝都に来てからイグアスの様子がおかしい。

なんだか、行動がどんどん幼稚な行動をとるようになっていた。


「ここで脱ぐのは、ダメだよ」

突然立ち止まったイグアスはコートを脱いで、下着姿に変わった。

しかも、そのまま下着に手をかけた。

僕が、慌てて彼女を制した。


「ああ、あなた」

あなたと僕のことを、呼ぶようにもなった。

僕は、そんな悲しみをこらえつつも彼女に向き合う。


「なんだい?」

「イグアス、今日はここで休んだ」

「あなたはどうする?」

「僕も、今日は休むよ。長旅もあったし、それに…君のことも考えないといけない」

記憶を失ったイグアスは、しばらく部屋で静養させるしかない。

彼女の行動は、あまりにも不安定だ。


だが、彼女を部屋で一人にしていいのだろうか。

彼女は、普通に生活をすることができるのだろうか。

そんな女子寮から一人の機械人間、ロボットが出てきた。


「サザーランド?」

「ダンタリオンさん」

機械人間(マシーナリー)のサザーランドは黄色い目を見せて、僕に近づいた。

鉄の体のサザーランドは、規則正しく手を広げて歩いてきた。


「あなたに、ワイヒラウ将軍から伝言が預かってきました。

『イグアスを送り届けたら、至急ワイヒラウ様を訪ねろ』です」

サザーランドが、僕に一方的に話してきた。


「わかった、すぐに行く」

サザーランドと会った場所から、少し奥に通路にイグアスの部屋のドアが見えていた。

少しだけ、不安を残しつつも僕は向かうことにした。



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